<心不全(2)>

 どのような病気も早期発見・早期治療が改善への近道です。「疲れやすい」「だるい」「動悸(どうき)がする」「階段を上ると息切れがする」などの症状に気付いたら、迷わず内科を受診しましょう。糖尿病でもこのような症状は出ます。しっかり診察を受け、その疾患に合った治療を受けましょう。その時に心不全と診断された場合は、しっかり治療を受け、それ以上悪くしない、これが鉄則です。

 治療の基本は「生活習慣の改善」と「薬物療法」。いかにこれ以上機能を低下させないか、そこが大きなポイントになります。「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」などの生活習慣病のある場合は、それをしっかりコントロールするためにも生活習慣の改善は必須です。

 加えて、風邪などの感染症に感染しないことや、過労やストレス過多にならないようにしましょう。感染症、ストレスなどが状態を急激に悪化させることがあるからで、それが「急性心不全」です。急性心不全は突然死に結びつきかねませんので、入院を必要とする状態です。

 そして、それなりに状態が安定している「慢性心不全」の薬物療法は次の4種類の薬が中心に使われます。(1)「利尿薬」=うっ血による症状を改善するために、身体の余分な水分を取り除きます。(2)「強心薬」=心臓のポンプ機能を手助けします。(3)「血管拡張薬」=血管を広げて血圧を下げ、心臓への負担を少なくします。「ACE阻害薬」「ARB(アンジオテンシン2受容体拮抗=きっこう=薬)」など。(4)「β(ベータ)遮断薬」=心臓に障害を与える神経やホルモンを抑制することで心臓の働きをよくします。

 これらの薬は、患者さんが勝手に飲まなかったりすると心不全を悪化させますので、主治医と常に話し合うことが大事です。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)