4、5月は、職場の配置換えなどの新しい環境に慣れるために、頑張りすぎてしまいますので、心のケアに注意が必要です。

 気分障害(うつ病)などで治療をうけた人は急激に増加していて、約20年間で、2・5倍に。現在、年間約111万人以上になっています(女性は男性より1・67倍多い)。世界的にも、ここ10年で、18%増加し、3億人を超えています(WHOによる)。

 理由は、社会のストレス自体が増えたこと、我々がストレスに弱くなってしまったこと、そして、うつ病が世間に理解され、精神科、心療内科へ受診しやすくなってきたことなどが、増加の背景にあると思われます。

 「うつ」になりやすい人の特徴として(1)周りから「きちょうめんだ、マメだ」といわれる(2)他人に仕事を頼みにくい性格(3)自分の評価が気になる(4)同じ曲を何度も聞くことが多い(5)朝起きたらすぐに携帯電話をチェックする、などが挙げられます。つまり、真面目、責任感が強い、完璧主義、凝り性といった人が、「うつ」になりやすいタイプといえます。すなわち、この人に仕事を任せておけば大丈夫だといわれる「誇るべき性格、仕事ができる人」ともいえます。

 ですから、まず自分自身が、このチェックリストで多く当てはまる、すなわち、よい人であるかどうかをよく知ることが大切です。もしこのような真面目で、責任感の強い性格だと知ったら、対策としては、過剰な仕事を避け、少しはいいかげんに生きようとすることが大切なのです。

 逆にここに挙げたものに全く該当しない人、すなわち、いいかげん・楽観的・ポジティブ・息抜きが上手な人は、うつ病になりにくく、こういった人たちが、さらにいいかげんに生きると、逆に仕事を失ったりするので注意が必要です。

 うつ病になるきっかけでは(1)悲しい出来事(2)引っ越し、職場の配置換えなどの環境の変化(3)分娩(ぶんべん)(4)昇進、昇格、結婚、などがあります。昇進、昇格、結婚などの一見、うれしく、楽しいと思われることも、本人にとっては、責任が重大になり、それがストレスになってうつ病発症のきっかけになることがあるのです。

 ◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビではコメンテーターのほか、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)など人気番組の医療監修も数多く務める。著書は「今すぐ『それ』をやめなさい!」(すばる舎)「ダイエットはオーダーメイドしなさい!」(幻冬舎)「ねぎを首に巻くと風邪が治るか?」(角川SSC新書)など。気分転換は週2回のヨガ。