寺田千恵(55=岡山)が引退した上滝和則への思いを語った。そこには、上滝に感じたおとこ気に、感謝が込められた。

デビュー直後は自身が福岡支部、上滝が隣の佐賀支部ということもあり、気にかけてもらうことも多かった。

「ペラを試して、と渡されたこともあった。それでは乗れないんだけど、勉強にもなった。私がこれという形でレースに行ったときに出ていて、一番出ていると褒めてもらうこともありました」

上滝との対決といえば、01年6月のSGグラチャン(からつ)だろう。優勝戦1枠に入った寺田は、3枠上滝の前付けにインを死守しながらも、深い進入となり5着に敗れた。

「勝てなかったのは私の実力。でも上滝さんも、男として女には負けられないという気持ちが強かったと思う。今では(遠藤)エミちゃんがSGを優勝しているけど、当時は意地はあったと思う」

選手会代表としても「今の選手会があるのも、上滝さんのおかげ」と振り返る。

「相当、貢献していると思う。年金制度など、選手を思って、いろんな制度をつくってくれた。見た目は怖いけど、根は優しい人だった。おとこ気にあふれる方だった」

選手として復帰した後の思いも聞いていた。

「もう1回、記念を走りたい、と話していた。だから引退と聞いて驚いた」

時折、複雑な表情を浮かべながらも、思い出話が止まらなかった。