早大が返り咲いた。16年ぶり3度目の優勝で大学3大駅伝初戦を飾った。23年に駒大がマークした従来の大会記録を1分55秒も更新する2時間5分56秒。2区本田桜二郎が首位に立ち、4区新妻遼己(ともに1年)も2番手から区間新記録の快走でトップに再浮上。最後は「山の名探偵」こと6区工藤慎作(4年)が区間賞で、大会2連覇中の2位国学院大に58秒差をつけた。高校時代にしのぎを削った早大の黄金ルーキー2人がえんじ色のタスキを押し上げ、2010年度以来の3冠へ好発進を切った。

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大学駅伝シーズンの幕開けを彩ったのは、早大の象徴えんじ色だった。アンカー工藤が、盤石の区間賞でウィニングラン。ゴール時に、右手で漫画「名探偵コナン」のポーズを決めた。

マラソン日本記録保持者の大迫傑らを擁した10年度に、全日本と箱根を含めた大学3冠。以来となる出雲制覇を16年ぶりに果たし、工藤は「優勝候補の大本命と捉えられていた中、今年の早稲田は前評判だけではない。本当に強い早稲田が帰ってきたことを、お見せできた」と実感を込めた。

熱中症対策で、今大会から4時間ほど早い午前9時台にスタート。例年より涼しく、上位7チームが大会記録を更新した高速レースとなったが、早大は4選手が区間トップで圧倒した。

流れをつくったのは2区本田と4区新妻の1年生コンビだった。まずは「重圧を逆に力を変えられる」本田が7番手から6人抜きの首位で鮮烈デビューを飾った。3区で9秒差の2番手に後退すると、4区の新妻は黙っていられなかった。

「桜二郎が区間賞を取って『新妻も』と。それを刺激に自分も頑張らないと」

1・1キロで首位日大をかわすと、そのまま独走。前回、国学院大・辻原が樹立した区間記録を10秒塗り替えた。就任5年目で出雲の空を舞った55歳の花田勝彦監督は「1年生2人が走って頑張ってくれたので本当にいい結果」と絶賛した。

昨年12月の全国高校駅伝1区で先頭争いを展開した2人は、今回補欠だった同期の増子陽太、上杉敦史を含めて指揮官から「カルテット」と呼ばれている。熱心なスカウト活動が実って獲得。8月のU20(20歳未満)世界選手権では男子3000メートルで本田が銅メダルに輝いた。既に世界でも戦うルーキーに、工藤も「自分が一番強い」と言いつつ「追いつけ、追い越せと練習してくるので、気が抜けない」と競争を歓迎した。

過去15年、閉ざされてきた扉をこじ開けた未来のスターたちが描くのは、ただの名門復活だけではない。男子5000メートルの全国高校総体王者、新妻は「自分たちの代は高校だけじゃないんだぞ」と伸びしろを強調し、本田も夢を口にした。

「箱根駅伝で4連覇できたらいいなと。新妻と4年間一緒にやれるのもプラスだし、増子や上杉もいる。これからは4人で切磋琢磨(せっさたくま)して早稲田を盛り上げていきたい」

16年ぶり3冠よりも先を見た、名門の黄金時代再来への挑戦が、この出雲路から始まった。【泉光太郎】

◆早大の前回優勝 10年度の出雲駅伝を、当時も大会新の2時間10分5秒で制した。96年大会以来14年ぶり2度目。1年の大迫傑が2区を走った。6人中4人が区間賞をマークし、2位日体大に1分11秒差をつける快勝。長く低迷した中、箱根駅伝の名ランナーだった渡辺康幸監督(当時37)が就任7年目で復活Vへ導いた。しかし胴上げは断って引き締め、全日本と箱根も制して3冠を達成した。

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