ゴルフは想像以上に過酷なスポーツだ。昨年11月から担当となり、取材を重ねる度にそう感じている。試合では1日18ホール、順延などがあればもっと多い。それを3~4日繰り返す。当然ながら、1日に約70回ほどクラブでボールを打つため(あくまで試合中のみの回数)、体への負担は少なくない。
取材するメディアもほとんどが歩いて競技を見守る。プライベートのゴルフで乗るカートは基本的には試合では使わない。選手も大変だが、我々もプレーの邪魔にならないようラフを歩き、ホール間の丘を越えたり、斜面を下ったり…と決して平地ではない場所を通るため、これが意外と足腰にくる。プレーを見たい選手の組が離れている時は少し小走りになる時もある。
先週取材したリゾートトラスト・レディースで、約半年ぶりに復帰したベテランの大山志保(44)が気になることを言っていた。久々に試合でラウンドをこなし、足が筋肉痛になったという。大会中は痛めていた左腕付近のほか、足にも湿布を貼った。その数、計6枚。大山も思わず同組の年下選手に話をしたといい「若い選手もかなり足にきていると聞きました。みんな状況は同じかなと思います」と言っていた。同大会は雨の影響で1日目が順延したため、2日目に30ホール以上をこなす選手も出た。雨こそ降っていないが、ぬかるんだ芝生の上を歩きながらプレーをこなす。競技中に走り回るわけではないため、サッカーなどの試合終盤でよく見られる「肩で息をする」選手はそうそういない。一見、涼しい顔で回っているように見えるが、選手もかなり体にきていたようだった。
選手に聞くと、やはり皆、それなりの対策は行っている。簡単に言えば、しっかりと鍛えているのだ。男子では今年初戦で石川遼(29)が鍛え上げられた上半身について質問される場面があった。女子では下半身を重点的に鍛えている選手が多いように感じる。ある選手は「筋トレは背中と下半身だけやっておけばいい」とまで言っていた。
今回のリゾートトラスト・レディースを制した勝みなみ(22)も昨年1月から本格的にトレーナーと始めたトレーニングで丈夫な体を作ったという。その結果、平均245ヤードほどだったドライバーの飛距離は約10ヤードほどアップ。開始当初は「お尻が弱い」と指摘されたといい「全身をバランス良くやりながら、下半身を結構鍛えました」と明かしていた。
そういえば、280ヤードを越える飛ばし屋として有名な笹生優花(19)は幼少期から両足首に重りをつけて過ごし、強い下半身を作れたことが飛距離アップにつながったと以前の取材で語っていた。大会を戦いきることはもちろん、スイングにおいても下半身の強さは不可欠なようだ。
鍛え方もさまざまで、今季の全選手最多6勝を挙げている稲見萌寧(21)はキックボクシング、原英莉花(22)は水泳を練習で取り入れているという。河本結(22)は昨オフにランニングを多く行って下半身を強化したと話していた。狙いはあまり変わらないが、やり方が選手ごとに違うのもまた面白い。
一方で厳しいトレーニングは負傷のリスクもある。よく聞くのはぎっくり腰。稲見と原は練習中になったことがあるといい、今年は4月のヤマハ・レディース葛城で植竹希望(22)が第1ラウンドの1ホール目でぎっくり腰を発症して棄権となるアクシデントもあった。原は「もう職業病みたいなものですね」と話し、植竹もヤマハでのアクシデントについて「ぎっくり腰は約1年半ぶり。オフにトレーニングを詰め込んでいたので、疲れがたまっていたんだと思う」と話していた。
長く良いプレーを続けていくために、選手たちはギリギリのラインを探りながら日々、鍛錬に励んでいる。普段どんな準備をして本番へ臨んでいるのか。そうした日々の努力は聞いてみなければなかなか見えてこない。これからも担当として、そうした一面にも積極的にアプローチしていきたいと思う。【松尾幸之介】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)


