男子ゴルフの松山英樹(24=LEXUS)が3日、8月のリオデジャネイロ五輪出場を辞退することを表明した。
世界ランクで日本勢1番手につけ、出場権獲得は確実となっていたが、ジカ熱流行を懸念し、苦渋の選択となった。
五輪についてしっかりと話を聞いたのは、昨年11月のインタビューが初めてだった。その時点では、自分の中で五輪の位置付けについて戸惑っているという印象だった。「今まで(五輪に)なかったゴルフがいきなり入って(ゴルファーは)誰もそこを目標としてやっていなかったわけじゃないですか。それをいきなり、メジャー以外に目標をセットするのがなかなか難しくて…」と話している。
ただでさえ、全米オープン、世界選手権シリーズのブリヂストン招待、全英オープン、全米プロ、そしてリオ五輪が中1週で続く過密日程。五輪が終わっても、賞金1000万ドルのかかったプレーオフが待っている。全ての試合に心と体を整えて臨むのは容易ではない。
それでも、4年後には「ホスト国でやる以上はモチベーションは絶対上がると思いますし、勝ちたいなという気持ちはあります」と意欲を見せる東京五輪が控えている。だからこそ「今まで感じたことのないことを感じることも、たくさんあると思います」と、未知の五輪という舞台=リオを経験する意義を感じてもいた。
しかし、その後状況は変化していった。スケジュールの都合で早々と辞退を表明した元世界ランク1位のアダム・スコット(オーストラリア)だけでなく、メジャー通算3勝のビジェイ・シン(フィジー)らジカ熱を理由に出場を見送る選手が出てきた。
松山も6月のメモリアル・トーナメントの会場で「僕は(結婚や婚約を)していないけど、そういうの(ジカ熱)は気になります。(出場は)ギリギリにならないと分からない」と態度を保留。それまで慎重に発言することはあっても、公の場で欠場する可能性に言及したのは、初めてだったように思う。
その時点でも1人の候補選手とはいえ、出場権獲得は確実な状況。一方で、五輪強化委員会などから現地に関する情報提供はなく、不安に拍車を掛けた。日本の第一人者としてメダル獲得を期待される立場であることは重々承知した上で「例えば僕が断ったら、出ないと言ったら、どうなるのか。(世間の反応が)ちょっと怖い」と悩める胸中を吐露していた。
そして、メモリアル後には世界ランク4位のロリー・マキロイ(英国)、世界ランク1位のジェーソン・デー(オーストラリア)がジカ熱感染のリスクを危惧して辞退を表明。新旧の世界NO・1であり、当初五輪に前向きだったマキロイとデーが下した決断の衝撃は大きかった。“流れ”が伝染するように、トップ選手の辞退が続いている。
松山は自分で考え抜いて、辞退を決めた。13年9月、今年6月の全米オープン直前と虫に刺されて体に変調をきたしたという個人的な事情もある。ただ、米ツアーで戦うからこそ、“流れ”の変化を日本人で最も感じ取っていた部分はあったかもしれない。【ゴルフ担当=亀山泰宏】

