ラグビーの代表チームには、愛称がついている。ニュージーランドの「オールブラックス」やオーストラリアの「ワラビーズ」などは世界的に知られている。日本代表は「チェリーブロッサムズ」や「ブレイブブロッサムズ」という愛称がある。誰がどのような経緯で呼んだのか、その由来に迫った。

3日、トンガ戦では、日本代表の愛称が印字されたバルーンが配られた
3日、トンガ戦では、日本代表の愛称が印字されたバルーンが配られた

日本代表の愛称「チェリーブロッサムズ」や「ブレイブブロッサムズ」は、海外メディアによる発信が最初だといわれている。日本のジャージーの胸にある桜のエンブレムにちなんで「チェリーブロッサムズ」と呼ばれていたが、03年大会での勇敢な戦いぶりを見た海外メディアが「ブレイブブロッサムズ」と称した。初戦のスコットランド戦に敗れた(11-32)ものの、後半途中まで接戦を演じ、多くの観客を驚かせた。

ところがその後、この大会を含め、07、11年と1勝もできず、愛称は浸透しなかった。そんな中、15年大会で南アフリカに歴史的勝利(34-32)。3勝を挙げた日本代表は再び「ブレイブブロッサムズ」の名を世界にとどろかせた。

現在では「侍ジャパン」「森保ジャパン」など各競技で日本代表が「○○ジャパン」と呼ばれるが、実はこの呼び方はラグビーが最初だった。70年代のラグビー日本代表から始まり、現在では、ほぼすべての団体球技に対して用いられるようになった。

愛称といえばニュージーランドの「オールブラックス」が有名。黒いジャージーに身をまとった姿が由来だが、実は英国遠征時に現地の記者が「All Backs(全員がバックスのよう)」を「All Blacks」と間違えて表記したことがきっかけともいわれている。

W杯出場チームの愛称
W杯出場チームの愛称

国の代表的な動物から名付けられたのは、オーストラリアの「ワラビーズ(カンガルー科の小動物)」や南アフリカの「スプリングボクス(鹿に似た動物)」、ロシアの「ベアーズ(熊)」などがある。ナミビアの「ウェルウィッチアス」やカナダの「メープル・リーブス」などは、国の植物に由来。米国の「イーグルス(ワシ)」やウルグアイの「ロス・テロス」は国を代表する鳥から名付けられた。そのほか国旗に竜が描かれているウェールズは「レッドドラゴンズ」、パスワークとランニングのプレースタイルから「フライング・フィジアンズ(空飛ぶフィジー人)」と名付けられたフィジー、国の男子団体競技すべてで呼ばれているイタリアの「アズーリ(青)」など由来はさまざまだ。

各国の人たちがそれぞれの思いを胸に愛称を呼び合いながら応援する。日本代表は「ブレイブブロッサムズ」の名のもと、勇敢に戦うための準備を進めている。【松熊洋介】