ビートたけし(67)が東京五輪への思いをたっぷり語ります。6年後の東京五輪に向けたさまざまなアイデアを披露。得意の毒舌を交えた金メダル獲得量産プランや、映画監督らしい独創的で斬新な中継方法や開会式の演出、新国立競技場に求める条件など自由気ままに語りました。

 <たけしが考える開会式>

 北京五輪はチャン・イーモウ、ロンドン五輪はダニー・ボイルと、開催国を代表する映画監督が開会式の演出を手掛けた。「東京じゃ俺に決まってるだろう」とニヤリ。

 アイデアは無数にある。「日本の歴史からやらないといけない。元寇(げんこう)からは、古すぎるからやめよう。東京大空襲、焼け野原、原爆投下して聖火台からキノコ雲…。ダメだって言われちゃうなあ。しょうがねえな」。それでも「流鏑馬(やぶさめ)でじゃんじゃん聖火台に矢を打ち込むのもいいな」。

 テーマは「アナログと最新技術」という。「2020年だったら、大きなロボットも動く。5つの輪で輪投げをする。輪はデジタルで見せればいい。ロボットと日本古来の芸の融合だよ」。さらに「ももいろクローバーZが5つの輪から出てきてもいい。歌って踊った後、その輪から歌舞伎俳優が出てきて、入れ替わる」。

 UFOも使う。国立競技場に地下を作り、各国選手が待機する。空からUFOが着陸して、その下から選手がどんどん出てくる。まるでUFOで運ばれてきたように見える。「本気でやらせろって言ってるんだけど」と笑った。

 <たけしが考える新国立競技場>

 五輪というショーをいかに見せるかが鍵という。陸上の華、100メートル。通常メーンスタンド側を使うのでバックスタンド側は見づらい。「観客席が前へ出たっていい。100メートルの時に反対側の席がグーッと前へ出る」。移動式スタンドだ。走り幅跳びやフィールド競技には、歌舞伎で使う、せりを使う。「いい席で見られるだろ」。

 解体工事の落札が2度目の保留となった新国立。設計、建設の話し合いに開会式の演出家も加えるべきという。「造ってから演出をやれと言われても、たまらない。『これは造って』というのを聞いてもらえるようにしておくべき」と話した。

 <たけしが考える五輪中継>

 映画監督だからこそ、見せ方にこだわる。テーマは究極の臨場感。陸上やり投げは「天井にワイヤを張って、やりを上から撮りたい」。さらに「観客の方に向かって来る映像も撮りたい。やり自体にカメラを埋め込んで、飛んでいく迫力も見せたい」。砲丸投げやハンマー投げも同様に球の中にカメラを仕込む。「ぐるぐると回っている時、本人がどのように見えているか客にも分かる」という。

 競泳では、選手の頭に小型カメラを付け、息継ぎした時に隣のレーンの選手が一瞬見える映像をあらかじめ撮っておく。これを本番のレースの映像に時折入れると「選手の目線が分かって面白い」。

 アイデアの紙面公開で盗用される可能性もあるが「パクられた時、『あの日のニッカンに書いてある』って証拠になる」と余裕たっぷりだった。

 <たけしのこんな五輪は嫌だor面白い>

 ▼水濠にワニ 「陸上の障害って意味がよく分からない。何で変な棒から池に落ちなきゃいけないの? ワニでも放しておいたらいい。そしたらアフリカ勢が強いだろうな」

 ▼トライアスロンの舞台が猛獣がいる山 「走って、自転車こぐなら、猛獣放した山に行ってサバイバルゲームをすればいい。これはすごいよ」

 ▼駅伝の採用 「日本は強いだろう。箱根駅伝と同じコースでやる。合計の走行距離は同じで、各走者の走る距離は、まちまちでいい。長く走るやつがいてもいい。だから、倒れそうになった選手のところにタスキを取りに行ってもいいんだ」

 <たけしが考える金メダル獲得量産計画>

 ▼重量挙げ  Mr. マリックを連れてきて、うま〜く重さを入れ替えちゃう。または、地面にそっと磁場をつくる。S極とN極で(バーベルを)簡単に上がるようにする。

 ▼マラソン 浅草を通るから、お坊さんにお願いして線香をいっぱい、たいてもらって、線香に慣れていない外国人選手の肺をダメにしちゃう。道に油をまくなど、滑るような、わなを仕掛ける。事前に日本人選手には、よ〜く地図を教えておいて、それは回避してもらおう。補給ドリンクに下痢をするものや、疲れがドッとくるものも入れておこう。

 ▼柔道 日本人選手はきちんと組めば勝てるから、ルールを変えて、まずきちんと組み手から始める。

 ▼陸上100メートル 長い靴で100 これはもう簡単だ。うんと長い靴を履く。これで決まり。

(2014年7月23日付本紙掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。