須藤は平均年齢41・9歳の日本代表主将として、2大会ぶり4度目のパラリンピックに挑む。守備の要で攻撃の起点にもなるDFは、日本のパラアイスホッケーも守らねばならない。「4年に1度注目される競技。この機会に若い人にも興味を持ってもらえれば」。

 10年バンクーバー大会で銀メダルを獲得。世界に衝撃を与えたが、国内に勢いを持ち込めなかった。全国で50人ほどの競技人口は変わらず、逆に主力選手の多くが離脱。資金不足で強豪国との対戦も減り、14年ソチ大会の出場を逃した。

 20歳の時、仕事中の事故で両脚を切断した。失望感だけの生活を送ったが、97年に出会ったアイスホッケーにのめり込んだ。人生を踏み外さずに済んだ。だから苦しかったこの8年間、チームの軸として競技を守ってこられた。地道な練習態度とリンク上の闘志。同僚が「背中で見せてくれる」という姿に、かつての銀メンバーも復帰。昨年10月の平昌大会最終予選を2位で勝ち抜いた。

 日本選手団主将にも任命された。「多くの選手にメダルを取ってほしいし、応援にも行きたい。ケガは全部僕のところでいいから」。1月のイタリア遠征で右くるぶしを骨折。手術を受け、ワイヤで骨をつないだまま大会に臨む。1次リーグ初戦は10日の韓国戦。11日に米国、13日にチェコと対戦する。【小堀泰男】(おわり)

 ◆須藤悟(すどう・さとる)1970年(昭45)10月23日、北海道苫小牧市生まれ。苫小牧工高時代は軟式野球部の内野手。昇降機のメンテナンス会社に就職し、20歳の時に両足をエレベーターにはさまれて切断。左は義足、右は手術でつなぎ合わせたが膝を失って曲げられない。所属は北海道ベアーズで中標津町在住。DF。170センチ、87キロ。