【白球はひとつ〈3〉】国籍変更した森本稀哲の願い「懸け橋をかけていきたい」
「もし悩んでいる人がいれば『君たちは、何も悪くない』と言いたい。両親の出会いがあったからこそ、日本で生まれた。何も引け目を感じることはない。いつか、現状をしっかりと受け入れられる日が来る。何か言われるんであれば、その人が、理解できていないんだと思えばいい」――森本稀哲
(2016年7月22日掲載、所属、年齢などは当時)
その他野球
昨季限りで引退した森本稀哲氏(35=元日本ハム外野手)の野球人生にフォーカスする。「在日韓国人・森本稀哲」でプレーすることになった08年から、周囲にさまざまな変化が生まれてくる。
襟元に刺繍
「ずっと肩身の狭い思いをするのは嫌だ」。森本は国籍の変更を機に、堂々と生きていくと決めた。
最初のアクションとして、アンダーシャツの襟元に「稀哲」の韓国語を刺しゅうした。「肩身の狭い思いをしている方に、在日韓国人ということを発信したかった。メッセージを送りたかった」。
当時はバリバリのレギュラーで、強い日本ハムのど真ん中にいた。「トップでやれるようになったからこそ、発信できたんですけどね。ファームにいるときからできていたら、すごいことなんでしょうけど」。前しか見えない。「何を言われてもいいと思った」。
覚悟の上だった。しかし、反応は意外なものだった。
1999年入社。整理部―2004年の秋から野球部。担当歴は横浜(現DeNA)―巨人―楽天―巨人。
遊軍、デスクを経て、現在はデジタル戦略室勤務。
好きな取材対象は投手、職人、年の離れた人生の先輩。好きな題材は野球を通した人間関係、カテゴリーはコラム。
趣味は朝サウナ、子どもと遊ぶこと、PUNPEEを聴くこと。