【白球はひとつ〈4完〉】稀哲のメッセージ「信念があればいい。自分がどうするか」
「もし悩んでいる人がいれば『君たちは、何も悪くない』と言いたい。両親の出会いがあったからこそ、日本で生まれた。何も引け目を感じることはない。いつか、現状をしっかりと受け入れられる日が来る。何か言われるんであれば、その人が、理解できていないんだと思えばいい」――森本稀哲
(2016年7月23日掲載、所属、年齢などは当時)
その他野球
昨季限りで引退した森本稀哲氏(35=元日本ハム外野手)のライフタイムを追う「白球はひとつ」。最終回はメッセージ編です。
【連載一覧】
連載〈1〉野球に出会ったのは小学4年「差別する人はいなかった」
連載〈2〉「日本でも、韓国でもない、在日韓国人として」生きていく
連載〈4〉炎上したとしても「信念があればいい。自分がどうするか」
「出せないでもいい」
取材の意図をくんだ上で、包み隠さず自分のことをさらけ出してくれた。森本は少し肩の力が抜けたようだった。アイスコーヒーをすすりながら「記事として、出せないなら出せないで、いいですからね。自分の経験を話しているだけなんですから」と笑ってくれた。
軽い気持ちで「自分のこと以外で、何かあるか」と聞いた。また背筋が伸びた。
「今はね…いじめ、偏見も、あまりないと思うんです。李で登録している選手もいますし。もし悩んでいる人がいれば『君たちは、何も悪くない』と言いたい。両親の出会いがあったからこそ、日本で生まれた。何も引け目を感じることはない。いつか、現状をしっかりと受け入れられる日が来る。何か言われるんであれば、その人が、理解できていないんだと思えばいい」
かといって、森本のように、自分から進んで発信する必要はないという。
1999年入社。整理部―2004年の秋から野球部。担当歴は横浜(現DeNA)―巨人―楽天―巨人。
遊軍、デスクを経て、現在はデジタル戦略室勤務。
好きな取材対象は投手、職人、年の離れた人生の先輩。好きな題材は野球を通した人間関係、カテゴリーはコラム。
趣味は朝サウナ、子どもと遊ぶこと、PUNPEEを聴くこと。