松井秀喜の指導論〈4〉マイナーの現場から~弱肉強食の世界で学んだ適度な距離感

伝道師として、日米の少年少女に野球の楽しさを伝える松井秀喜氏。カテゴリーや能力に関係なく、大切にしている思考があります。(2016年11月4日掲載。所属、年齢などは当時)

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★親身=懇切丁寧ではない

松井氏は15年、NPO法人「松井55ベースボールファウンデーション」を設立した。その後、日米両国の少年少女を対象に、数多くの野球教室を行ってきた。

これまでニューヨークをはじめ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、東京、そして地元石川と、自らと縁のある各地で開催。各回の募集人員を約30人に限定しているのは、直接コミュニケーションを取り、触れ合う時間を大切にしているからにほかならない。

「人間教育なんて、そんな大それたことは考えてないです。ただ、実際に野球という競技に肌で触れて、少しでも野球を好きになるキッカケになってもらえれば、少しでもその手助けになれば、と思っているだけです。僕も小さい頃、甲子園の高校野球やプロ野球にあこがれて、そこから野球に打ち込みましたから。恩返しの意味もあります」

子どもたちには、自らトスを上げ、打撃投手を務め、直接声をかける。いいスイング、プレーをほめることはあっても、厳しく注意することはない。

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四竈衛Mamoru Shikama

Nagasaki

長崎県出身、米アリゾナ在住。北関東支局(群馬・栃木)を経て、巨人、ヤクルトなどを取材。1999年からメジャー担当。趣味は料理とゴルフ。