「投高打低」打破へ5つの提言…何よりボールのせいにするな/調査報道2024〈6〉

近年、日本プロ野球は急速な「投高打低」が続いている。昨季、両リーグで規定打席に届いた打者のうち、打率3割を超えた選手は3人しかおらず、日本人はソフトバンク近藤だけ。一方、防御率1点台で規定投球回に達した投手は6人もいる。西武時代の松坂大輔氏の最高防御率が2・13(06年)だったことを考えれば、どれだけ異常な現象が続いているか、分かってもらえるだろう。打者の長打率は下がり続け、投手の球速は上がり続けている。「投高打低」の原因はなんなのか? 今後も続くのか? さまざまな角度から分析し、「投高打低の真実」として、6回連載で検証してみよう。

プロ野球

野球人気衰退になりかねない

ここまでさまざまな角度から「投高打低」を分析してみた。その結果、「投高打低」の現象は19年から始まり、21年から勢いを強めていることが証明された。どれぐらい打てなくなっているかといえば、〝飛ばないボール〟とされて問題になった統一球が使用された11、12年と同じぐらい得点力は下がっている。

当時は「あまりにも得点できないから、野球が面白くなくなる」という反響が大きかった。13年からはボールが改善され、そうした声は聞かれなくなったが、このまま「投高打低」の現象が続けば、野球人気の衰退につながる可能性がある。

「飛ばす」を追求した米「当てる」を重視した日本

では、これまでの検証データをまとめ、改善策を考えてみたい。

(1) ボールが徐々に飛ばなくなった可能性はあるが、昨季だけ極端に飛ばなくなった可能性は低い。得点力が下がった原因は他の理由があるのでは?

(2) 得点力が下がったのは平均本塁打数とOPS(出塁率+長打率)の低下が原因。

(3) メジャーでは「飛ばす」を追及したが、日本では「当てる」を重視。日本は三振数が減り、長打も減ったが、メジャーは三振数が増え、長打も増えた。

(4) 日本の投手は急激に球速が上がり、18年からの7年間で3キロもアップ。打者は投手のレベルアップに取り残されている。

(5) 球団によって「投高打低」の格差がある。戦術面や指導法に違いがあるのではないか。

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プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。
投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。