【代打の神様対談〈下〉】友野一希「GPはスタメンなんで!」好機到来

フィギュアスケート男子の友野一希(24=上野芝スケートクラブ)がプロ野球・元阪神タイガースの桧山進次郎氏(53=日刊スポーツ評論家)と語る「代打の神様」対談。

話は盛り上がり、気が付くと、開始から1時間を過ぎていました。

今回はプライベートからトレーニング、コーチングについての考えを熱く語り合いました。(敬称略)

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対談を終え笑顔で握手を交わす桧山氏(左)とフィ友野

対談を終え笑顔で握手を交わす桧山氏(左)とフィ友野

友野「僕と坂本花織選手が2トップ」

桧山 スケート選手の食生活はナーバスなイメージがあります。

友野 トップ選手も偏食が多いです(笑い)。

桧山 そう、偏食なんだ?

友野 そういう意味でも、こだわりが強い人が多いんだと思います。僕はちょっとずつ気にするようにはなってきました。今は体調によって何となく分かるんですよ。「今日は野菜だな」とか「今日は何食べてもいけるわ」とか。昔からお菓子やジュースは飲まない家庭だったんで、別に欲しいと思わないし、3食のごはん。それがずっと安定して結果を出せる要因だと思います。僕はケガが本当にないんですよね。昔から健康体で骨も強い方。よく「いい体やね」って褒められます。僕と坂本花織選手はケガが少なくて、2トップで体の元気度が高い選手だと思っています(笑い)。

桧山 海外遠征も多いから大変ですよね。

友野 海外ではすごく痩せます。日本食大好きなんで、試合の時はスーツケースの半分ぐらいが食材です(笑い)。白ご飯を持ち込んで、カレーとかを作って食べています。

桧山 体作りにウエートトレーニングは必要なんですか? 

友野 筋力トレーニングはしますけど、人によりますね。スケートのトレーニングをする方が大事。トレーニングは体の動きを良くしたり、自分の体を知るために必要だと思ってます。僕もすごくウエートトレーニングをやっていた時期もあったんですけど…。

桧山 フィギュアスケートはしなやかさも求められるから、その度合いが難しいのかなとか思いますが。

友野 一番は「スケートで体を作った方がいい」という考え方です。パワーもいるけど、車でいうとボディーを作るより、運転技術が大事。神経系や脳も含めて、体をいい状態に持っていくようなトレーニングが多いかなと思います。トレーニングはできるだけスケートに近い動きでやります。

桧山 あまり器具を使わないってことですか? 

友野 それが多いかもしれないですね。でも誰もが「ウエートトレーニングをやってみよう」という時期を通ってきたと思います。やる前は土台がないので、それがある程度つくんですが、それを超えた時に「あれ、動きが悪いな…。ちょっと重くなった」と気づきました。

桧山 野球界もウエートトレーニングが主になっていますが、あくまで野球選手としての正しい鍛え方をしないと間違った方向に進んでしまいます。僕も激しいまでにトレーニングをやってきたほうですが、そこでついた筋肉をいかに野球に役立てるかを考えないといけない。ボディービルダーの方は、それが仕事。野球選手は鍛えた筋肉を、いかに野球に役立てるか。体が硬くなったり、可動域が小さくなったりすると、逆にケガをしやすくなってしまいます。

友野 トレーニングのためにトレーニングをするんじゃない。野球やフィギュアスケートをうまくなるためにトレーニングをするのが大事なので、それに気づく過程も大切ですね。トレーニングって、僕は結構ケアの要素も大きいと思っています。体のゆがみをなくしたり、脳を起こす作業もできる。目的は間違っちゃダメ。トレーニングのためじゃなく、どれだけスケートが上手になるかを考えています。あくまでフィギュアスケートのトレーニングが一番。ここに害があったらダメ。例えばむっちゃ筋肉痛で、スケートの練習ができないのは絶対に良くないと思う。あくまでスケートの練習がうまくいくように考えています。

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