【競輪】松浦悠士が涙のＶで広島勢から初頂点！苦闘１年を乗り越え全身全霊の差し切り／立川GP

グランプリ5度目挑戦の松浦悠士（33＝広島）が、涙の初制覇を果たした。賞金ランク5位から大逆転で賞金王の座も奪い取った。

広島勢で初の頂点。中国勢のGP制覇は、96年の小橋正義（当時岡山＝引退）以来27年ぶり2人目となった。通算獲得賞金は10億円を突破した。

2着に深谷知広、3着に真杉匠が入り、人気の古性優作は絶好番手も伸びを欠いて4着だった。

: KEIRINグランプリを初制覇し、賞金ボードを掲げながら笑顔の松浦悠士（撮影・鈴木正人）

: 優勝者インタビューで涙ぐむ松浦悠士（撮影・鈴木正人）

: 優勝者インタビューで涙ぐむ松浦悠士（撮影・鈴木正人）

: 優勝者インタビューで涙ぐむ松浦悠士（撮影・鈴木正人）

松浦が表彰式で流した大粒の涙が、苦しかった1年を物語っていた。

新山と脇本が主導権を争い、深谷がその上をまくる。これぞGPというハイレベルな攻防に、大観衆は酔った。清水の後ろで戦況を見つめた松浦は、清水が不発とみるや、すかさず深谷にスイッチ。家族と師匠の脇田良雄が見守る中、全身全霊を差し足に込めた。

: KEIRINグランプリを初制覇し、ガッツポーズする松浦悠士（左後方）（撮影・鈴木正人）

: KEIRINグランプリを初制覇し、笑顔でガッツポーズする松浦悠士（撮影・鈴木正人）

今年はSS班に負傷者が続出する波乱の年だった。松浦も和歌山G3の初日当日欠場で1年が始まり、3度の落車には大きなダメージがあった。別府ウィナーズカップ、函館サマーナイトフェスティバルと2つのG2を制し、賞金争いは優位を保ったが、例年の安定性は影を潜めた。

GP出場を決めた直後も落車やへんとう炎と、最後まで計画通りにいかなかった。「ようやくけがの影響がなくなって、順調にきていたのに…。バンクも使えなかったから、今回は調整方法も違う。どうなるのかな」。前検日は、明らかに不安を抱えていた。

しかし、松浦には光明があった。GPで過去3度連係している清水とのコンビ復活だ。「自力でそこまで戦える自信がなかった。でも、今回はヒロトが『前でやりたい』と言ってくれた。ラインの仲間がいる安心感が昨年との違いです」。

: KEIRINグランプリを初制覇し、笑顔でガッツポーズする松浦悠士（撮影・鈴木正人）

: KEIRINグランプリを初制覇し、笑顔でガッツポーズする松浦悠士（撮影・鈴木正人）

近年は、中四国ラインから次々に才能あふれる若者が出てきた。中でも「犬伏（湧也）と（太田）海也は間違いなく（G1を）取る選手」と高く評価している。清水が復活し、若手が順調に伸びてくれれば「グランドスラムも視野に、あと10年はGPに乗りたい」というのも現実的な目標だ。

5度目の挑戦でつかんだGP優勝と「賞金王」の称号。来年は真っ白いユニホームに身を包み、中四国王国の中心でタクトを振る。【松井律】

: 表彰式でポーズを決める松浦悠士（左）となかやまきんに君（撮影・鈴木正人）

: 優勝カップを手に笑顔を見せる松浦悠士（撮影・鈴木正人）

◆松浦悠士（まつうら・ゆうじ）1990年（平2）11月21日、広島市生まれ。市立広島工で自転車を始め、競輪学校（現養成所）98期生として10年7月に熊本でデビュー（予選1、準決3、決勝2）。19年小倉競輪祭でG1初制覇。20年名古屋オールスター、21年京王閣日本選手権優勝。20年ウィナーズカップをはじめG25勝。通算1200戦346勝。通算獲得賞金は10億1568万6311円。168センチ、73キロ。血液型O。