陸上男子100メートル前日本記録保持者の桐生祥秀(25=日本生命)が26日、契約しているアシックス社が主催するオンラインイベントに出演した。

近年は大きな故障なく、日本のトップを走り続けている。調子の波も少なくなった。今の競技観を語った。

「今をキツキツに生きようと思っている。来年に引退するかもしれないと、毎年考える。今はこういう考え方の方がいいと思う」。

近年はスタートラインに立った時に自信が満ちている。それは日々の練習の積み重ねで、万全の準備を施している確信を持つからだ。練習から逃げたくなる時もあるが、「ライバルが俺より練習していたら嫌だな」。そう思い、練習に向かう。

イベントでは200メートルで20秒03の日本記録を持つ末続慎吾(40=イーグルラン)とも対談した。その末続が第2走者だった、08年北京オリンピック(五輪)の男子400メートルリレー銅メダル(銀に繰り上げ)は、当時中学生だった桐生の心に、強く焼きついている。あまり他の人のレースを見るタイプではないが、あの「感動」は特別なものだ。

今、桐生は五輪での決勝進出を目標として掲げている。「僕が決勝に残りたいというのは、予選と準決勝は多くの人に見られない。僕がそうだった」。そう北京の銅メダルに触れ、語った。また「最近、ベストを出していない。しっかり日本記録を奪還したい」。17年の自己記録9秒98の更新を誓った。