スーパールーキーからスーパーエースへ-。東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)に臨む青森県八戸市出身の駒大・田沢廉(2年=青森山田)は、「当たり」のレースを連発する安定感抜群男だ。11月の全日本大学駅伝では3位でタスキを受けると最終8区で逆転。区間賞とMVPに輝き優勝の立役者になった。勢いに乗る青森の大器が、7年ぶりの2冠をたぐり寄せる。

ただの下級生ではない。すでに大黒柱の自覚たっぷりで「チームの目標は優勝と最低3位以内。それを達成するにはエースが走らないと勝つことができない。自分はレースで外すことはないが、今回もいつも通り自分の力を発揮して貢献したい」。昨季は出雲駅伝で3区2位、全日本大学駅伝で7区区間賞、箱根駅伝は3区区間新の3位。今大会も再び同区間を希望し「個人目標は区間賞、区間新記録。自分が流れを変えるか流れをつくる走りをしたい」と高いハードルを課す。

超高校級として注目を浴びた。青森山田3年時に5000メートル、1万メートルともに高校日本人ランキング1位。全国高校駅伝でもエース区間1区を3年連続走った。故郷への思いは強く「大学界のトップレベルで戦わせてもらっているが、青森から自分のような選手がもっと出てほしい気持ちはある。自分みたいになりたいとか、なってくれたらうれしい」と力を込める。

今月の日本選手権では1万メートル27分46秒09の駒大記録を樹立して8位入賞。社会人相手に大学生の意地を見せた。それでも「目標として優勝がひとつあった」と満足感は一切ない。「打倒実業団」を掲げる20歳。いざ2冠へ箱根路の主役は譲らない。【山田愛斗】

◆田沢廉(たざわ・れん)2000年(平12)11月11日生まれ、青森・八戸市出身。是川中、青森山田を経て駒大に進学。全国高校総体5000メートルで17年は9位(日本人4位)、18年は7位(同2位)。自己ベストは1万メートル27分46秒09で駒大歴代1位、5000メートル13分37秒28で同大歴代2位。180センチ、61キロ。