日本陸連は8日、前日に国立競技場で行われた陸上日本選手権1万メートルで発生した選手の接触事故について状況説明を行った。アクシデントが発生した場面の動画はSNSで拡散され、話題を集めていた。

報道陣の取材に応じた石井朗生事務局長によると、事故発生は男子1万メートル2組で先頭の選手がゴールした瞬間だった。NHKのカメラクルー2人がフィールドの内側からトラック内に入ると、走路で選手の三田真司(サンベルクス)と接触。三田の首付近にカメラケーブルが引っかかり、さらに4人の選手と接触しかけた。5選手は無事にゴールしたが、三田はレース後に首が赤く腫れて痛みを訴えて都内の病院を受診。検査で異常はなかったが、痛みが続いているため、9日以降に詳しい検査を受ける見込みという。陸連とNHKは5選手の所属先に謝罪をした。

接触に関与したNHKの報道局スポーツセンターでスポーツセンター長を務める辻村和人氏はこの日、国立競技場で陸連幹部と状況確認を行った。「選手の方々、陸上競技のチームの方々に大変ご迷惑をおかけしてしまい深くおわび申し上げます」と謝罪。カメラクルー2人は委託先である外部プロダクションのスタッフで、陸上を含めてスポーツ中継の経験者という。走路を横切った理由については「確認中ではありますが、現場の状況から考えるとゴールした選手が走路の先にいるので、そこに向かっていったということが(可能性として)挙がる。ただ、競技の妨げになっていけないのが大原則。確認が不十分だった」とした。【佐藤礼征】