女子砲丸投げは水藻毬乃(新潟明訓3年)が新潟県高校新記録でV2を決めた。09年の記録を14年ぶりに14センチ更新する13メートル80を5投目にマーク。スクワット180キロの桁外れのパワーを見せつけた。

 

右耳に右手を当てた水藻は、計測役員のコールに聞き耳をたてた。13メートル80の県高校新記録と分かると、両腕を上げて、その場でクルクル回った。「13メートル66(従来の県高校記録)を越そうという気持ちだけだった」。5投目だ。突き出した右腕から離れた砲丸は12メートルラインをただ1人越えて、さらに伸びた。「今日は更新できるかな、と思っていたけれど『これはきたでしょ』と思った」と笑みがはじけっぱなしだった。

これまでの自己記録は2位に入った北陸実業団(4月)で出した13メートル45。同大会で優勝した郡菜々佳(26=新潟アルビレックスRC)から「すごいね」とほめられ、大喜びした。昨年のベスト12メートル86から大幅に記録を更新していただけに、残すのは県高校記録の塗り替えだった。2投目を投げたときは、全身を弾ませながら砲丸の着地ポイントまで行って記録を確認したものの13メートル27。首を横に振って悔しがったが、前向きだった。「感触は良かった。だけど、『もっとなんだな』という気持ちになった」。記録へ挑む気持ちは、決してしぼまなかった。

「インターハイでは、何色でもいいからメダルをもらいたい」と水藻は全国大会で上位を狙う。スクワットは180キロで、「苦手」というベンチプレスも90キロ。パワーの持ち主は1月に股関節を痛め、冬は技術力をメインに磨き、この日の記録更新につなげた。「14メートルを投げたい」。次の目標数字も、すでに定まっている。【涌井幹雄】