昨年にアスリート仲間と立ち上げた一般社団法人「Woman's ways」。元バドミントン日本代表の潮田玲子さんが代表を務める私たちの団体は、元プロテニスプレーヤーの杉山愛さん、元バレーボール日本代表の狩野舞子さんと共に、女性アスリートが安心して競技を続けられるように、体の変化や生理などの課題に向き合い、寄り添う団体を目指し活動している。

昨年立ち上げた「Woman's ways」
昨年立ち上げた「Woman's ways」

今月10日には、8回目となる講義を行った。場所は船橋市立船橋高等学校。体育科の3年生に向けての講義だった。しかし、男子生徒が全体の7割。今までにないパターンだった。

私たちがこれまでの講義で主に話してきたのは、「女性の体」について。女子チームや、スポーツを頑張る娘を持つ親御さんに向けてがメインだった。

そういった中での今回の講義。思春期の男子が多いことから、話す内容やアプローチのしかたを変えた方がいいのか、とも考えた。しかし、女性の体や仕組みを男性にも知ってほしいというのも私たちの考えのひとつ。高校生にもなれば、彼女がいたり、その先には、結婚という未来もある。そして、かわいい女の子が生まれるかもしれない。

それ以外にも、卒業後には監督や指導者として活躍し、女子アスリートとの関わりがある可能性も大いに考えられる。そうなった時に、今回の講義が生きてくれるかもしれないという思いも込め、いつもと同様に講義を行った。

市船橋高で講義を行った
市船橋高で講義を行った

私自身は、昨年12月に第2子を出産し、現在は育児に奮闘する日々を送っている。出産直後には、急激なホルモンバランスの変化により、精神的に不安定な時期が続いた。いつもなら平気なことに対して、とてもイライラしてしまったり、急に不安が込み上げてくることもしばしば。2人の育児で、今まで以上に計画通りに物事を行えないストレスもある。

さらに、追い打ちをかけるように、夜間の授乳や夜泣きで、寝不足な日々。分かっていたことなのに、実際に起きると肉体的にも精神的にも追いつめられていた。

このストレスをどこに発散すればいいのか。そうなると、どうしても一番身近な存在である夫に当たってしまうことも多くなる。自分でも自分が分からなくなるのだから、男性にはもっと分からないことだろう。

生理だけに限らず、産前産後でも女性はホルモンによる影響はとても大きい。そこで男性が、「女性の体はそういうものだ」と理解してくれているだけでも、お互いに対する思いやる気持ちが生まれたり、かける言葉も変わってくるのではないだろうか。


閉経するまでの間、毎月くり返される生理への理解にも、同様のことが言えると感じている。

生理や、それによって起こる体調の変化は百人百様。同じ女性でも違えば、親子でも違う。ホルモンバランスによるさまざまな変化に対して、「これはホルモンのせい。私が悪いわけじゃない」そう思えるだけでも、少しは気持ちが楽になることをみんなに知ってほしい。

私たちの講義を機に、生理やホルモンの影響による体調不調を理解し、自分に合った改善方法を見つけるきっかけになってほしいと願っている。

そして今後も、頑張っている現役選手や、それを支える親御さんたちに向けて、私たちの経験も交えながら分かりやすく学べる機会を提供していきたい。

(中川真依=北京、ロンドン五輪飛び込み代表)