4打差10位から出た横峯さくら(32=エプソン)が8バーディー、ノーボギーの64をマークし、通算12アンダーの132で首位の元世界ランク1位、柳簫然(27=韓国)と1打差2位に浮上した。前週米ツアー自己最高の2位フィニッシュを決めた勢いのまま、悲願の米初優勝を狙う。

 第2打を木に当て、この日唯一といっていいピンチを迎えた最終9番。横峯は2メートルのパーパットをねじ込み、ガッツポーズを見せた。

 「すごくいいラウンド」とうなずく表情は明るい。スポット参戦でシード返り咲きを狙う今季は「何が何でも1つでも上に」という気持ちが強かった。強すぎる思いは、時として焦りになった。前週2位で今後の出場見通しが一気に開け「(気持ちが)すごく変わった」。心身の負担となっていた出場権を得るためのマンデートーナメントも気にする必要がなくなった。

 「ドライバーの飛距離が戻ったことが一番の要因」と好調を分析。オフのトレーニングで昨季に比べ、ドライビングディスタンスは5ヤードほど伸びている。キャディーを務めるメンタルトレーナーの夫、森川陽太郎氏(37)の存在も大きい。スタートから2ホール続けて右に出たショットについて「ちょっと違和感があるんだよね…」と漏らすと森川氏から「違和感あるなら言ってよ!」と返され、歩きながらのスイングチェックで修正した。

 気の置けないやりとりも夫婦ならでは。グリーン上でも「明確に教えてくれる」と森川氏の読んだラインを信じ、迷いなくプレーしている。「優勝という言葉は、まだ早いかな。1ホール1ホール、大切にしていきたい」という冷静さが、確かな手応えの裏返しだ。