無観客でも、声援がなくても、元気いっぱいの渋野日向子(21=サントリー)が、日本中に元気を届ける! 新型コロナウイルスの影響で約3カ月半遅れで行われる、国内女子ゴルフツアーの今季初戦、アース・モンダミン・カップ(25~28日)に向けて23日、会場の千葉・カメリアヒルズCCで練習。その後のリモート会見では「元気いっぱいです」と宣言した。レベルアップした姿を見せると誓った渋野の今を、連載2回目で紹介する。

   ◇   ◇   ◇

今年初めて試合会場に現れた渋野は、昨年までと変わらない笑顔を見せた。仲の良い同学年の大里桃子、木下彩と顔を合わせると、新型コロナウイルス感染防止対策で、握手やハグはもちろん「ひじだけ出した」と、疑似的なひじタッチでソーシャルディスタンスを保ちつつ、再会を喜んだ。練習ラウンド前も本来、上着の袖に付ける「検温済」シールを右ふくらはぎに張り、笠りつ子ら同組で回った3選手の笑いを誘った。周囲も笑顔にする、渋野の笑顔は今年も健在だった。

練習後のリモート会見でも、独特な言葉を用いて笑いを誘った。前日22日にトレーニングした影響で筋肉痛とあり「今日は、へなちょこでした」と、ショットが精彩を欠いたことに苦笑い。現在の状態を「15%」と、極端に低く自己評価したが、筋肉痛以外のマイナス要素は「全く。元気いっぱいです!」と、文字通り元気いっぱいに話した。さらに無観客で静かな試合を想定し「思った以上に自分の声が聞こえて、カメラのマイクで聞こえると思うので、言葉には気を付けなきゃ」と、笑い飛ばした。

歓声が起きることはないが、インターネット中継などを通じてプレーでも魅了するつもりだ。今オフを振り返り「何カ月かアプローチをやってきたので、その成果を試合で試せれば、もっとレベルの高いゴルフができる」と力説。従来は苦手だった、9番アイアンやPWを使って転がすなどアプローチに磨きをかけた。「去年よりは精度はちょっとは上がっているし、パーを取れる確率が上がった。手応えはあります」と、レベルアップした姿を見せる自信を、言葉の端々に込めた。

緊急事態宣言下で日本中から減った笑顔、その象徴のような選手が帰ってくる。渋野自身も食事はテークアウト中心など、新型コロナウイルス対策にぬかりはない。そんな中で前日は「個室で焼き肉を食べました」と、英気を養いつつ自分へのご褒美を報告し、また笑顔。「予選通過」が目標という今大会は、人との距離を保つ感染症対策の“新様式”で行われる国内初戦。新しい舞台でも、変わらない「しぶこスマイル」で、日本を元気にする日が近づいている。【高田文太】

◆プロゴルフ界の新様式 すでに再会している米男子ツアーや韓国女子ツアーでは、ソーシャルディスタンスは常識となっている。従来は多く見られた握手やハグはなく、選手とキャディー間でも会話は最小限と求められている。パットで旗竿を抜いた際は入念に消毒してから戻し、バンカーショット後は用具を使わず選手自ら足で砂をならすことも。米男子ツアーではホールインワンを達成しても冷静な選手がいた一方、再開初戦で3年ぶりにツアー優勝したバーガーは、プレーオフを制した際に思わずキャディーと抱き合った。