柔道女子78キロ超級世界女王の朝比奈沙羅(22=パーク24)は技の幅を広げるために、ラグビーのプレースタイルを独自で研究している。柔道界一の“ラグ女”が、ラグビーの魅力を語った。

ラグビーボールを使ってパス練習する朝比奈沙羅
ラグビーボールを使ってパス練習する朝比奈沙羅

ラグビーは究極のチームスポーツです。1つミスで攻防が変わり、それをサポートするために、選手全員が筋骨隆々の相手に体をぶつける。衝撃音、体格差、チームの一体感など個人競技の柔道ではないものがある。まさに、無差別の格闘技です。そのワールドカップ(W杯)が日本で初開催されるのだから、毎日、ワクワクしています。9月20日の開幕戦チケットも当たったので、世界選手権(8月25日開幕、日本武道館)で2連覇して、気持ち良く応援したいです。

東海大3年の時、授業で「ラグビー理論及び実習」を履修しました。補助学生の先輩がスタメン出場して、応援で行くようになってから大好きになりました。柔道で参考になることもあります。例えば、目線です。ボールを投げる方向を見て、投げるフェイントを入れてから自ら走るシーンがあります。柔道も同じで、目線とともに払い腰のフェイントを入れないと、支え釣り込み足がかからない。あとは、勝敗が決まる後半に反則しない。指導3の反則負けがあるので、そこは意識しないといけない。ラグビーから学ぶことはたくさんあります。

日焼けしながらパナソニックの選手たちを撮影する朝比奈沙羅
日焼けしながらパナソニックの選手たちを撮影する朝比奈沙羅

今は2週間に1回はラグビーを見ないとダメ。日焼けも好きなので、お日様に当たってビタミンDを生成しながら、練習や試合を見るのが至福の時なんです。観戦時は自分の体格が体格なので…自然とプロップの選手に目がいきます。一番好きなポジションだし、スクラムの大黒柱で相手にタックルして何度も起き上がる。あのパワーと運動量は圧巻で、すごみを感じます。高根の花ですが、競技引退後に同じ医師の道を志している日本代表候補のWTB福岡堅樹さんも気になります。プレー中の判断力とかから賢さが表れていて本当にかっこいい。普段は柔らかい感じなのに、試合になると戦闘モードになってオーラがある。

学生時代から使う愛用のラグビータオルは遠征時の必需品で、元気の源です。こんな柔道家はいないと思いますが、W杯では目標の8強入りを達成してもらい、そのパワーをもらって集大成の東京オリンピックに臨みたいです。

◆朝比奈沙羅(あさひな・さら)1996年(平8)10月22日、東京都生まれ。7歳で柔道を始める。東京・渋谷教育渋谷高-東海大-パーク24。13年講道館杯から女子初の4連覇。17年世界無差別選手権制覇。18年世界選手権金メダル。右組み。世界ランク5位。得意技は払い腰。趣味はヒップホップダンス。176センチ、135キロ。