優勝はイングランド-。前サントリー監督の沢木敬介氏(44)がワールドカップ(W杯)日本大会を大胆に予想した。20日の開幕を前に、出場20チームが続々と来日し、各キャンプ地で最後の調整に入った。直前のテストマッチまで分析した沢木氏は、前日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏(59)率いるイングランドを高く評価。1次リーグ各組の勝ち上がりと合わせて大会の「見どころ」を解説した。【取材・構成=荻島弘一、奥山将志】

沢木敬介氏
沢木敬介氏

-いよいよ開幕が迫ってきました。もちろん、日本も気になりますが、優勝争いも楽しみです

沢木 まあ、ニュージーランドか、期待を込めてイングランドか。あとは、アイルランドあたり。ティア1の強いチームは、しっかりと決勝(11月2日)までを考えてコンディションを保ってきますから。

1次リーグ組み合わせ
1次リーグ組み合わせ

-まずは各組の予想をお願いします

沢木 A組はアイルランドが抜けている。あとはスコットランドと日本。2勝1敗同士のリーグ最終戦で決まるパターンですね。もちろん、日本には初の1次リーグ突破を期待していますし、可能性はあります。

-B組はどうですか

沢木 間違いなく順当にニュージーランドと南アフリカ。両チームが初戦でいきなり当たる。南アはよくなっているし、特にFWは素晴らしい。ただ、経験値という点ではニュージーランドの方が上。初戦に対する戦い方を見ても、ニュージーランドが勝ちそう。

-C組のアルゼンチンはどうですか

沢木 やはりイングランドとフランス。アルゼンチンはメンバー選考に苦しんだ。海外でプレーしている選手の何人かは呼べていないし。ただ、もともと力はあるし、初戦でフランスを食えば(C組は)もめますね(笑い)。イングランドは初戦がトンガだし、大会への入りが楽。

-D組はウェールズとオーストラリアですか

沢木 日本と並んで台風の目の可能性があるフィジーがいる。日本と対戦した時よりメンバー的によくなっている。初戦がオーストラリアなのもおもしろい。オーストラリアはフィジーに負けるようなことがあると、次のウェールズで2敗。そこで終わる可能性も。

ラグビーW杯の優勝回数
ラグビーW杯の優勝回数

-優勝候補を1つ挙げるなら、やはりニュージーランドですか

沢木 ニュージーランドは強いです。コンディションもベストでしょう。それでも、イングランドを挙げたい。期待も込めてですけれど。6日のイタリア戦を見ても、仕上がりはすごくいい。順調に準備してきた感じ。もともと、エディー(ジョーンズ)は大会に向けて逆算して綿密に準備をするコーチですから。

イングランドを率いる前日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏
イングランドを率いる前日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏

-経験豊富な選手が多い中、7人制から転向したWTBルーリー・マコノキーら経験のない選手もいます

沢木 SHベン・ヤングズとかプロップのダン・コールとか2回のW杯を知っている選手を入れながら、思い切った選手も入れる。こうやって、チームに刺激を与えるのもうまい。

-ニュージーランドも好調のようですが

沢木 ベテランプロップのオーウェン・フランクスを外したけれど、誰が出ても高水準のラグビーができるのが強み。3連覇は簡単ではないけれど、十分にその可能性はあります。

ラグビーW杯歴代成績
ラグビーW杯歴代成績

-ニュージーランドの弱点があるとすれば

沢木 全員にアタックの意識が強く、攻撃力は素晴らしい。ただ、押される展開には脆(もろ)い。カウンターなどアクシデンタルの形でトライを奪われると、意外と引きずる。劣勢になった時に「脆さ」が出ますね。

-世界ランク1位になったアイルランドは

沢木 いいチーム。自信をつけてきたのも大きい。SOジョナサン・セクストンが負傷から戻って、さらに安定した。A組本命は間違いないが、優勝となるとどうかな。やはり、イングランドが本命。次はニュージーランドか。開幕するのが、楽しみです。