いい試合だった。オールブラックス相手に5トライは素晴らしいし、チームの自信になったはず。ラインアウトなどのセットプレーや陣形が整わない状態での守備、さらにターンオーバー後のプレー選択、キックの判断と精度など課題はあるが、今後に続くテストマッチの初戦として前向きに考えられる試合だった。

前半、オールブラックスは「らしくない」プレーが目立った。立ち上がりでチームの経験値の差が出たのだろう。日本の15人のキャップ数の合計は458、相手は178しかなかった。アウェーの独特な雰囲気の中で、相手は普段のプレーができなかった。逆に日本は15年W杯メンバーを中心によく動いた。特にWTB福岡は素晴らしかった。インターナショナルレベルにあることを見せてくれた。

大きかったのは、日本のクイックテンポが通用したこと。ラックの連取でゲインを切っていく「ゲインサクセス」は、オールブラックスの53に対して日本も53だった。ポゼッション(ボール保持率)、テリトリー(地域獲得率)は、ともに相手が53%で日本が47%。ほぼ互角といってもいい。今後が楽しみになる試合だった。

(ニッカンスポーツ・コム/ラグビーコラム「サントリー監督 沢木敬介の解説」)