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自動車漫画の雄・楠みちはる氏が新連載

[2014年8月11日10時23分]

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連載がスタートした「銀灰のスピードスター」

連載がスタートした「銀灰のスピードスター」

 自動車漫画の雄にとって、集大成となる作品が今夏、スタートした。小学館の週刊ビックコミックスピリッツ37・38合併号(8月11日発売)で連載が始まった「銀灰のスピードスター」。手掛けるのは、「あいつとララバイ」「シャコタン☆ブギ」「湾岸ミッドナイト」(いずれも講談社)などで有名な楠みちはる氏(57)の最新作だ。同氏は「60歳で引退するつもり。メジャーな雑誌でクルマの漫画を描くのは、これが最後」と話す。30年以上の漫画家歴をしてなお描き続ける自動車の魅力と作品にかける思いを聞いた。

-2年ぶりとなる自動車漫画だが

 楠 正直、もう辞めようかと思っていました。僕は原稿料も高いんで(笑)。雑誌をクルマとしたら、僕らは単価の高い部品かなあと。

-そんな中、描くことになったきっかけは

 楠 (漫画の)原作をやろうと思ったんです。3本書いて、そのうち1本を小学館の方に見ていただいたら、「絵も描いてくれ」と(笑)。でも、ものすごいアプローチをしていただいたので。実は小学館さんとはいろいろあって、一緒に仕事がしづらくなったりもしたのですけど。それでも最後になんとかしたいなと思っていたら、ちょうどチャンスをもらえたという感じですね。以前から60歳で引退しようとは思っていたので。

-あと3年で引退は早いのでは

 楠 おやじが56歳で倒れたんです。僕はその時売れっ子だったんですけど、おれも56歳ぐらいで寿命なのかなと。それなら、その歳まではフルでやろうと思いまして。若いころからずっとお酒を飲んでましたから、一時血圧200くらいあったんですけど。そのお酒もやめて56歳まで動ける体を作るようにしました。倒れて連載が途切れたら戻れない業界ですから。

-漫画家としての集大成となるが

 楠 何でもそうなんですが、「命の棒」みたいなものがあって、それをちょっと削らないとおもしろくない。僕も(仕事を)流してしまうこともありますが、今回はだいぶ削りました。寿命が5年くらい縮んだ気がしますね。編集長の熱意に押されて始めたことなので、残り少ない寿命を削ってみました。

-かなりのハイペースで話が進んだ

 楠 今の時代、4月に編集さんとコンタクトを取って、7月の段階に7本入れて、8月に連載スタートなんて、こんなハイペースはないですね(笑)。でも、作家と編集部って恋愛なんですよね。作家は女性で。なので、「おまえが旅行に行きたいっていうなら付き合うよう」というのと「一緒に旅行に行こう」っていうのは、全然違う。もし「先生がやりないなら」というなら、僕もそれなりだったかもしれないけど、「先生ぜひ!」と言われれば、「もう年を取ったおばちゃんだけど、大丈夫?」みたいな(笑)。

-やるからには長く続けたい

 楠 僕らがたくさん描いていた80年代は、だいたい10週(回)で人気が出なければ終わりと言われていました。だから、今でもそのつもりでやっています。始まってダメなら作品はダメ。50年ぐらい漫画を読んでいますけど、おもしろいものは、始まった瞬間からおもしろい。10回でひとつのジャッジだと思いますよ。

-最近の漫画に思うことは

 楠 基本的に漫画では「良心」を描きたいんです。最近だと、読んで後いい気持ちになれない漫画が多い。多少売れてお金持ちになったら、後は世の中に毒をまき散らしちゃいけない気がするんです。でも、売れたり求められたりするものも描きたいし、暴走族の漫画とか描くので、言ってることとやってることが違ったりするんですが(笑)。でも、その中でできるだけ道徳の部分も入れたい。だから、単に「クルマ、楽しい!」みたいなものは描きたくない。

-自動車の魅力とは

 楠 クルマって、合法なものの中で、相当おもしろいものだと思う。クルマは免許がいるけど、お酒はいらない。ここにポイントがあって、免許がいるものでは、相当危険で、かつおもしろいものなのだなと。

-作品のポイントは

 楠 今回の作品は、今までの自分の作品を読んでくれてきた人に、「ああ、あの人はまだクルマ描いてるんだな」と思ってくれたらそれでいい。なので、今回スピリッツという本でやらせてもらえて、うれしいと思います。2年ぐらいブランクがありますが、クルマを描く技術を維持したかったです。だから最近、タイヤとフェンダーを描くのがすごく好きで。やっぱりクルマが単純に好きなんでしょうね。

-最後にメッセージを

 楠 僕ももう最前線ではないかもしれないけど、精度の低いクルマも描きたくないし、きちんとクルマを描いていることを見てほしい。楽をしないで、全部自分で描いていますんで。きっと「前の方がよかった」って言われちゃいそうなんですけど、それでも今回はあえて話に乗りました。あとはメジャー雑誌でクルマ漫画を描くのはこれが最後。スピリッツという本で、ちゃんと「湾岸ミッドナイト」のシリーズ最終章としてやれることがうれしいのですね。

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