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なぜ弁護士が賞金付き麻雀大会に協賛したのか

[2015年7月8日10時17分]

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賞金付き麻雀大会を企画、自ら賞金も出した津田弁護士

賞金付き麻雀大会を企画、自ら賞金も出した津田弁護士

 賞金付きのプロ麻雀大会「京都グリーン杯」。ニコニコ生放送で配信されている番組名だ。どこかの関連企業が協賛しているかに思えるが、確認するとそこはなんと「京都グリーン法律事務所」。ここの代表弁護士が津田岳宏(たかひろ)氏だ。なぜ弁護士が麻雀番組を企画し、しかも自らがスポンサーとなって賞金まで出したのか。本人にその理由や麻雀に対する思いを聞いた。

 -仕事で麻雀と接するようになったきっかけは

 津田 私がもともと、司法試験に受かる前に麻雀店でアルバイトをするくらい、麻雀が好きな学生でした。弁護士になってすぐに、「賭け麻雀ってどうなんだ?」ということをある人から言われまして。それから賭け麻雀と賭博罪について考えるようになり、2010年に「賭けマージャンはいくらから捕まるのか」という本を出版しました。すると、機器メーカーや全国麻雀業組合総連合会(全雀連)の方に見つけていただいて、ご連絡をいただきました。そこから、この業界のお仕事をさせていただくようになったという流れです。

 -仕事の内容は

 津田 全雀連や麻雀店グループ、卓メーカー、専門サイトなどの会社の顧問をさせていただいています。具体的な相談としては、店内でのお客様間のトラブルが多く、普通の企業とあまり変わらないですね。

 -客のトラブルとは

 津田 いろいろなお客様がいるので。おひとりでも遊べるという店ですと、知っている人同士で遊ぶわけでもない。お客様の相性もありますから。ゴルフでも、身内で来て回るのではなく、コースの会員の方が別々に来られて一緒に回る場合は、トラブルも起きがちです。あとは風営法が絡む業種ですから、法令順守に関しての指導もします。平たく言えば、クリーンな店であるように、という感じです。

 -大会をやるきっかけは

 津田 この3月に私はプロになりました。他のプロの方々にお話を聞いたところ、まだまだこの世界は偏見を持たれていて、なかなかスポンサーもつかない状況があるのだと。私自身は、麻雀自体はすごく健康的で、おもしろい頭脳スポーツだと思っています。大会などにスポンサーがつくという流れを作るために、まず自分が行動を起こそうと。何より私自身が、業界からたくさんのお仕事をいただいているので、麻雀というものに対しての恩返し、還元ができればと思いました。

 -麻雀は見ても楽しいものでもある

 津田 今年の1月から、ゲームを競技としてとらえた「eスポーツ」にも関わるようになりまして。スマホでeスポーツをする「ワンダーリーグ」の法律部門のパートナーを務めています。海外では、頭脳スポーツをたくさんの観客が集まって見る、というとても楽しい文化がある。そこで、麻雀も絶対見るスポーツとして必ず成り立つはずだと認識をしました。eスポーツを勉強したのも、大会を企画した理由のひとつですね。

 -自ら企画した「京都グリーン杯」のポイントは

 津田 単なる大会ではなく、放送用の頭脳スポーツというのが大きなコンセプト。ただやるのではなく、視聴者様に見ていただくために作った大会です。まずは賞金を出しました。これによって、より真剣勝負という観点を出した。それから今の放送は優勝以外意味がないものが多い。まったく優勝の可能性がなくなってしまった人の打ち方は、一般の方とは違う、上がりに向かわないという特殊なものになってしまっています。そういう問題を作りたくなかったので。麻雀は4人が一斉に争うというところが、他の頭脳スポーツとの違いであり、おもしろいところ。そこで上がりに向かわない人がいると、魅力を損なうことになってしまう。だから、優勝者だけ賞金を得るというのではなく、準優勝や3位でも成績次第で賞金が出るようにしました。可能な限り4人が最後まで全力で打てるようにしています。他にも大相撲のように三賞を設けてみたり。

 -見せ方も工夫した

 津田 どういう4人が打つのかをしっかり伝えるために、大会ホームページにも各出場選手のアンケート結果やインタビュー動画を公開しました。今回の出場者も、まだまだ知らない人が多いと思ったので。視聴者も事前情報はたくさんあった方がいいでしょうし。

 -ネットでの配信番組も増えつつあるが、複数ある団体の中で、どのプロが一番強いか分かりにくい

 津田 プロ団体が複数あるというのは、やはりスポンサーがあまりついていないという状況も影響しているのでは。今は、1つにまとまるモチベーションが持ちにくいと思う。たとえば大きなスポンサーがあったとして、そこが、団体が1つになって欲しいと言うようになれば、そういう動きが出てくるのでは。

 -自らスポンサーになってまで大会を開き、広めたいと思う、麻雀のおもしろさとは

 津田 まったく同じ展開になることがない。毎日打っても少しずつ違う。その違いを見たくなるんです。同じ配牌が来るのは、天文学的な確率。一生出会えないような。ましてやツモとか展開とか、まったく違う。でも、似たような局面も出てくる。なんとも、この矛盾するようなところが楽しい。とらえられそうで、とらえられないというか。将棋はかなり科学的になっていますが、麻雀はまだまだコンピューターで解析できないところも多いので。どういう学問に関係しているかというと、もちろん数学は関係しますが、それだけではない。心理学とか、文学とか。その複雑な要素が魅力なのかなと。4人の戦いというのも魅力なのかなと。

 -麻雀を人生に例える人も多い

 津田 4人がある時は結託してみたり、次の局では途端に敵だったり。何か人生のシミュレーションに近いところもある。だから経営者で好む方が多いというのは、そういうところから来ているのかなと。将棋や囲碁より、人生に似ているところが多い気がします。

 -ファンを増やすためには

 津田 頭脳スポーツとして認知されて、イメージが変われば劇的に増える気もします。逆に、今はこれ以上減ることもないのかな、という思いもあります。ネットもありますし。電車に乗っていると、横でスマホで麻雀やっているような人もいますし。今やゲームはとてつもない数があるのに、これはすごいこと。このアナログでクラシカルなゲームをスマホでやるというのは、麻雀がすごくよく出来たゲームである証明なのでは。

 -今後の目標は

 津田 この大会をたくさんの人が見て、おもしろいと思ってもらって、スポンサーになりたいという人が出てくれたらいい。そうしたら大会名ごと変えてもいいですから(笑)。スキームもそのままお貸ししますので。伝えたいのは、みなさんが思うほど、不健全な業界ではないということ。お店にお金を巻き上げられようなこともないですし。いまだに劇画でそういう世界が描かれることはありますが、あれはファンタジーだと思ってもらえればいい。店には年配の方から若い方や女性も多い。禁煙のお店も増えました。麻雀というものがかなり変わってきたので、ちょっとでも打ちたい気持ちがあれば、一度きれいな店に行っていただければと思います。 (聞き手=K松)

 京都グリーン杯 大会ホームページ http://www.jan39.com/greencup/

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