メジャーでは、球界関係の暴露本や内幕を描いた本が出版されることが意外に多い。最近では、ドジャースの現在の危うい状況を暴いた「The Best Team Money Can Buy(金で買える最高の球団)」というノンフィクションが出版されている。著者は女性野球記者のモリー・ナイト氏で、ESPNマガジンなどに執筆しているベテランだ。

 本には「キューバの暴れ馬」ことヤシエル・プイグ外野手がチームメートとことあるごとに対立し、あわや乱闘という騒ぎが何度もあったことが書かれている。特にプイグと確執が深いのがザック・グリンキー投手とジャスティン・ターナー内野手で、昨年、シカゴ遠征で移動中、チームバスがいったん停車したときにグリンキーがいつまでも待たせるプイグに腹を立て、プイグの荷物を道路に放り出したこともあったという。

 プイグは「野性児」とも呼ばれ、フィールド外ではスピード違反で逮捕されるなど問題児であることは否定できない。クラブハウスでは一瞬でも一カ所にじっとしていることがなく、次にどんな行動をするのか予測がつかないため、周りが振り回されるであろうことも容易に想像できる。しかし同じスペイン語を母国語とするラテン系の同僚とは関係良好のように見えるし、チーム25人の中で決して孤立しているわけでもない。それでも本の中で具体的な「知られざるエピソード」が数多くセンセーショナルに描かれているため、他のスポーツメディアでもかなり扇情的に取り上げられた。そのため、ドジャースがこの問題児をトレードで放出するのではないかとの臆測も出るなど、騒動が続いている。

 米国では、週刊誌が書くようなセンセーショナルな球界暴露話が、書籍という形で出版されることが多い。この本はジャーナリストが書いたものだが、元選手や球団職員が出版したものもある。こうした暴露本が頻繁に出るためか、球団によっては暴露本を出版するなどの行為を禁ずる契約を職員と交わしているところもある。

【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)