ソフトバンク上林誠知外野手(19)が、“内川塾”で伝授された技を武器に2軍のタイトル奪取を目指す。仙台育英高から昨年ドラフト4位で入団した左打者は、今オフの自主トレで7年連続3割をマークする安打製造機に弟子入り。2年目は本職の外野手登録に変更され、アピールポイントの打撃に磨きをかける。

 ソフトバンク上林が、宮崎キャンプB組(2軍)の中で好調ぶりを示した。16日の紅白戦では3番右翼で先発し、視察した工藤監督の前で2打数2長打2打点の活躍。どちらもインコースを鋭く振り抜いて外野を深々と破ってみせた。

 上林 調子はいいです。タイミングと(バットの)トップの入れ方がうまくできている。結果が出ると自信になるし、自主トレの成果も実感できている。本当に大きかったと思います。

 球界を代表する大打者への弟子入りで、打撃開眼への手応えをつかんだ。上林が「日本一の右バッター」と尊敬する内川に志願して自主トレ参加が実現。年明けから宮崎県内で10日間、打撃フォームなど基本から指導を受けた。

 上林 初日に「最初からトップを作っちゃえ」と教わって、すぐ飛距離や弾道が変わった。今までは反動で打つタイプだったけど、始動を早くしたらタイミングも良くなった。ヒジを伸ばして準備していたらインコースに対応できないという先入観もなくなった。今までこすって打ち上げることが多かったけど、良い感じで飛ぶようになりました。

 選手層が厚い日本一軍団で、まず2軍定着が最低目標だ。野手だけで10人以上の育成選手がいる大所帯。1年目の昨季は3軍で86試合に出場して95安打を放ち打率2割8分4厘をマークしたが、2軍では9試合の出場にとどまった。初めての内野守備でも三塁を中心に、二塁、一塁にもチャレンジしたが、2年目は本職の外野手登録に変更。今キャンプでは主に中堅、右翼でノックを受けている。

 上林 内野をやったのは良い経験になったけど、契約更改の時に「来年は外野でいく」と言われて、少しホッとした(笑い)。今年は絶対2軍でスタートして、1年間プレーする。ずっと試合で使ってもらって(ウエスタン・リーグの)首位打者か最多安打のタイトルを取りたい。

 高校時代からチャンスにめっぽう強い「持ってる」男だった。あこがれのイチロー(マーリンズ)と同じ背番号51を付け、1年目のキャンプでは王会長や秋山前監督に直接指導を受けた。2年目は“内川塾”に入門し、工藤監督が視察した紅白戦で結果を残した。上林が地道なアピールを続け、1軍への切符もつかんでみせる。【鹿野雄太】

 ◆上林誠知(うえばやし・せいじ)1995年(平7)8月1日、さいたま市生まれ。小1から西堀A-Iで野球を始める。土合中では浦和シニアに所属、3年春に全国制覇。仙台育英では1年秋から4番。2年夏から3季連続甲子園に出場。14年ドラフト4位でソフトバンク入り。右投げ左打ち。家族は両親と兄、弟。185センチ、78キロ。