マッサンこと巨人ドラフト1位の岡本和真内野手(18=智弁学園)が記念すべき“プロ初本塁打”を放った。「6番・指名打者」でスタメン出場し、2回の第1打席、相手先発の新垣から左翼へ、推定飛距離125メートルの特大アーチを放った。自分を変えないスタイルが対外試合5打席目での待望の1発となった。

 岡本はいつもと変わらず、ゆっくりとしていた。2回2死走者なしで第1打席が回ってきた。相手投手に対し「黄金(松坂)世代の新垣さんだと思った」と言うが、気後れはなかった。ヤクルトのボール回しが終わっても、歩きながら2度スイングして打席に向かう。足場を固め、どっしりと構えた。グラウンドでは相手が誰であろうと関係ない。自分のリズムは一切、変えなかった。そして初球。真ん中の低めの直球に最短距離でバットを出した。

 打球はすさまじい音を残し、ライナーで左翼席にあるネットの上段に突き刺さった。観客席のファン、ナインが驚く中、ゆっくりとダイヤモンドを1周。「高校の時のスイングができた。金属ならどこに当たっても飛ぶけど木は違う。木で初めてホームランが打てて良かったです」。プロ初の実戦アーチに笑みがこぼれた。

 キャンプから約1カ月がたつが、打撃フォームの修正はほとんどされていない。内田2軍打撃コーチは「今のままでプロでやっていけるスイングをしている。フォームを崩す必要はない」と、その理由を語っていた。松井秀喜氏、長嶋終身名誉監督が視察に訪れたときも、岡本の打撃について修正点を口にすることはなかった。疲れが出てくる、第3クールではフォームを崩す時期もあったが、自分で素振りを繰り返してしっかりと修正した。

 岡本の打撃フォームは高校入学前から完成されていた。智弁学園の小坂監督は「岡本にフォームを教えたことがない。智弁に来たときからあのスイングができていた」と証言する。ヘルメットを深くかぶることや、打席まで必ず歩いていくことも、いつしか岡本のルーティンとなっていた。打撃においては、プロの世界でも自分を持っているからこそ、この日の本塁打へつながった。

 3月14日のイースタン・リーグ開幕戦まで6試合あるが、全て6番での出場が決定的。高校までの定位置である4番は結果を出してからだ。「まずは2軍でレギュラーを取れるようにしたい。自信は1軍で結果を出してからだと思う」と冷静に話す。記念のボールも飾ることなどしない。課題の守備はみっちり練習している。「まだまだなんで、練習します」。1軍でアーチをかける日まで、マッサンは今の自分を貫き通す。【細江純平】