二塁バトル決着-。阪神沖縄キャンプ最終日となった25日、西岡剛内野手(30)が初めて三塁の守備についた。和田豊監督(52)から「チームが勝つためにサードもやっておいてくれ」と伝えられた西岡はチーム内競争を喚起するため、あえて、二塁にこだわったという胸の内を明かした。三塁西岡という攻撃的オプションを得て猛虎が実戦編へと突入していく。

 答えはグラウンド上にあった。キャンプ最終日、最後の守備練習で西岡は三塁にいた。オフから二遊間で勝負という覚悟を口にし、上本との二塁争いにこだわってきたが、初めて三塁に立った。

 「これは決着ということではなく、チームが勝つためにはどうしたらいいのかというオプション」と和田監督は説明。この日までに「チームが勝つためにサードもやっておいてくれ」と告げ、西岡も潔く受け入れた。上本との二塁バトルは1つの決着を迎えた。

 右肘を手術して迎えた今季、西岡は自主トレ中に「二遊間で勝負して試合に出られないなら、控えでもいいくらいの強い気持ちを持っている」と発言。昨季、西岡の離脱時に二塁をつかみとった上本との競争に不退転の覚悟を示した。キャンプでは若手と同じ組に入り特守に励んで泥にまみれた。その結果が出た今、二遊間発言の真意を明かした。

 西岡 阪神に入って3年目ですが、チーム内競争が本当にないチームだなと感じていた。監督さんに1月から何回も、剛、三塁やってくれといただいていたんですが、競争をしたいですし、ポジションを簡単にぽんぽんと動かすチームは強くならないと思うし、僕は本当に強いチームを作りたい。この1カ月、どこの球団にも負けない競争がある練習をできた。その中で最終的に決めるのは監督。監督に背くならチームを去るべき。僕は去る気もない。

 指揮官の胸中を知りながら、あえて二塁にこだわって競争を生んだという。昨季と同じ顔ぶれで、ともすれば無風状態になりそうだったキャンプに緊迫感を持ち込む意図だったようだ。

 和田監督 剛の、もう1度、自分を追い込んで復活してやろうという思いが伝わってくる25日間だった。

 配慮に満ちた和田監督の言葉を受けながらも、西岡らしい決意を口にした。

 西岡 期する思いというのは僕自身ありますが、これからはチームのために身を削っていきたい。三塁は今成選手、良太選手、陽川選手らいい選手がたくさんいる。これからも競争は続く。

 競争を恐れず、誤解を恐れず、西岡らしい刺激をチームに送り込む。【鈴木忠平】

 ▼西岡は昨季、三塁手として4試合に先発。6月27~29日中日3連戦は1番、7月12日巨人戦は6番だった。ほか代打で出場しそのまま三塁に就いたのが2試合ある。移籍1年目の13年は7試合で三塁手。いずれも先発で1番が3試合、3番が4試合。ロッテ時代(03~10年)ツインズ時代(11~12年)は、いずれも三塁守備の経験はない。

 ◆西岡VS上本の二塁バトル 2月15日の紅白戦では、ともに二塁で先発。西岡が3安打すれば、上本も1安打2盗塁と火花。キャンプ中の練習試合、オープン戦を合わせ二塁は上本が6試合、西岡が3試合守っている。