オマタセシマシタ~! 阪神マット・マートン外野手(33)が4日、「15年甲子園開幕試合」となったソフトバンクとのオープン戦で初実戦に臨み、日本復帰初戦の松坂大輔投手(34)から初打席初安打を決めた。キャンプイン直後から右太もも裏負傷で出遅れていたが、周囲の心配を一掃する本格スタート。安打製造機は今年も頼りになりまっせ!

 青々とした寒空の下、甲子園に季節外れの歓声が響いた。「赤毛の安打製造機」が「平成の怪物」の上をいった瞬間だ。マートンVS松坂。オープン戦とはいえ、注目の初対決はバットマンが勝利した。2回無死、外から中に入ってくる135キロ直球系を丁寧にミートし、強いゴロで二遊間を破った。

 マートン マツザカサンが甲子園ですごい投球をしていたのは知っているよ。以前は150キロを超えるボールを投げていたけど、まだ3月。これからもっと上がってくると思う。スピードを変えたりタイミングをズラしたり、低めにコントロールされていい投球だった。素晴らしい投手と対戦できて良かったよ。

 キャンプイン直後に右太もも裏を負傷。「フラストレーションがたまってイライラもしたけどね」。沖縄では地道なリハビリを黙々と続け、満を持しての15年初実戦だった。メジャー時代にかなわなかった「KAIBUTSU」との対決が実現し、いきなり「15年初安打」を記録。試合後は終始ニコニコ顔だった。

 09年オフに来日する何年も前から「ヤキュウ」を勉強していた。野球を通じて日米文化を比較する一冊「菊とバット」を研究。日本球界の情報が英訳された「Yakyu Baka」も熟読した。松坂が横浜高時代に春夏甲子園連覇した映像も当然チェック済み。「マツザカサンに限らず、マエケンとかの甲子園映像も見ていたからね」。思い出深い1日となった。

 5番DHで初実戦に臨み、いきなり4打席に立った。「特にゲームから外れる理由もないからね。1打席でも多く立っていこうと思った」。当初の予定は3打席。志願して1打席おかわりした。スタンリッジ、岩崎のスライダーにタイミングを崩す場面もあり、まだ本調子に遠いのも事実だ。

 マートン スライダーに泳がされたり、見極められない部分もあった。相手投手が6月にバンバン投げている状態なら、自分はまだ2月が始まったばかりの感じ。試合に出ることでゲーム感覚を確かめていきたい。

 例年は開幕までの仕上げに実戦60打席以上を目安とする。開幕まで残り14試合。まだ60に近づける時間は十分ある。天候、状態などの条件が整えば、6日西武戦で左翼守備を解禁する可能性も。3・27開幕へ。怪物打ちはギアチェンジの合図だ。【佐井陽介】

 ◆マートンのここまでの調整 1月27日に来日。同29日には甲子園の室内練習場で打ち込むなど、精力的に滑り出した。ところが宜野座キャンプでの2月2日、午前中のベースランニングの際に異変を訴えリタイア1号に。右太もも裏の軽度の筋挫傷と診断された。別メニューとなり「残念ではあるけど、ここまでオフはしっかり準備してきた。3月でないからよかった」。7日にノック捕球を再開。11日にフリー打撃を行った。17日には全体練習に復帰。27日の甲子園練習では左翼で打球を追うなど、実戦出場が近いことをうかがわせていた。