黒田さんばりの瞬殺投球! 阪神藤浪晋太郎投手(20)が今日10日、侍ジャパンの一員として欧州代表戦(東京ドーム)に3番手で登板する。QVCマリンで前日練習に参加。3回無失点、最速157キロを連発した6日西武戦から中3日で、2イニングを投げる予定。次回は中4日で15日DeNA戦に先発する見込みで、シーズン開幕にダメージを残さない「省エネ侍」となる。

 藤浪の脳内コンピューターは常に冷静だ。侍バージョンの縦じまに袖を通せば、誰だって気持ちが高ぶる。とはいえ、シーズン開幕まで3週間を切った調整期間でもある。全力で腕を振りながら、同時に肉体のダメージは最小限にとどめなければならない。導き出した結論は「省エネ」だ。

 藤浪 日本人選手との対戦ではない。できるだけ少ない球数で淡々と打ち取っていきたい。

 今日10日、欧州代表戦に3番手で2イニングを投げる。3回無失点の6日西武戦から1度もブルペンに入らず、中3日でのマウンドになる。全体練習では又吉、大瀬良とのキャッチボール、ショートダッシュなどで汗を流した。次回は中4日で15日DeNA戦に先発予定。短い登板間隔が続く中、イメージチェンジに挑戦する。

 旬な手本が存在する。メジャーから8年ぶりに広島復帰した黒田だ。レジェンド右腕は前日8日のヤクルト戦で15年初実戦に臨み、4回1/3をわずか39球で完全投球。多少球数が増えても剛球でねじ伏せるタイプの藤浪からすれば、衝撃的な快投だった。

 藤浪 全部ではないけど(映像で)見ました。投球術というか、技術の高さを感じました。あれだけ淡々と打ち取るのは楽なことではない。自分がそういうタイプではないということは自覚していますが、少しでも近づけるようにしたい。

 前日は東京都内の宿舎に入り、1月の合同自主トレを共にした大瀬良と食事へ。3歳上の昨季セ・リーグ新人王からは「この時期にあんなスピードが出るなんて、シーズンが楽しみだね」と期待された。6日西武戦では大阪桐蔭時代の1学年後輩、森を相手に自己最速タイの157キロを3連発。この日は阪神OBでもある矢野バッテリーコーチから「ボールの質が良くなっている」と高評価された。周囲が驚くスピードで進化を続けながら、さらに「省エネ」という引き出しを増やしにかかる。

 昨年11月に着た侍ユニホームはもう大阪の実家に送った。過去を振り返ることなく向上を狙う。小久保監督直筆の招集状を受け取り、「若さを前面に出して、自覚を持ってやっていきたい」。たとえ球数が少なくなろうとも、1球1球に侍魂を込める。【佐井陽介】