ソフトバンクが無失点継投で執念ドローだ。先発の大隣憲司投手(30)が8安打を浴びながら7回途中まで無失点の粘投。7回2死満塁でベンチが継投に打ってでると、その後の5投手も0行進を続けての延長12回引き分け。打線が3安打でも負けないのが、ホークスの強さの一面だ。

 薄氷を踏むような展開で、リリーフ陣がしのぎきった。6投手の継投で、ゼロを12個並べた。延長12回、執念のドローだ。工藤公康監督(51)はその価値をこう表現した。「チャンスうんぬんを考えれば、僕らからすると、勝ちに等しい引き分けだった」。2ケタの10安打を許したが、本塁への生還は阻止した。楽天の17残塁が激しいディフェンスを物語っている。

 綱渡りのような投手リレーだったが、指揮官の選手に対する強い信頼を表れていた。7回裏2死満塁で、大隣から二保にスイッチした。経験の浅い右腕だが、厳しいマウンドにも平然と送り出す。工藤監督は言った。「まだ本来のものではないが、力のある投手。自信を持って投げたら、なるほどと思ってもらえるピッチングをする」。森かバリオスを投入してもおかしくない場面だが、強心臓を高く評価している二保を指名。その期待に応えた一ゴロでピンチを切り抜けた。

 続く8回は二保がつかまり、再び1死満塁の危機。ここで森福が藤田、岡島を打ち取った。「特に森福だね。左打者2人を抑えてくれた」と工藤監督は絶賛。最大のヤマ場を乗り越えると、バリオス、サファテ、森が無安打でつないだ。打線は3安打で、2戦連続で無得点に終わった。それだけに失点しなかったのは、大きな価値を持つ。「今日の試合は終わった。切り替えて、悪いイメージを消して、明日、戦いたい」。気温5度の厳しい寒さの中、投手陣の熱投が、チームを前向きにした。【田口真一郎】