巨人のドラフト3位高木勇人投手(25)が「三枚腰」の配球で初登板から3連勝を決めた。先制された直後の7回裏、味方打線が3つの押し出しで逆転した。初登板からの3戦3勝は、球団では00年高橋尚以来15年ぶり4人目で、高木勇は「逆転してもらえるとイメージしながら待っていました。素直にうれしいです」と喜んだ。

 無傷の3連勝は、勢いだけの産物ではない。過去2試合はカットボールよりも曲がり、スライダーほど変化しない「高木ボール」を駆使した。この日のヤクルト打線は、それを狙ってきた。2回に雄平、3回は山田に安打に仕留められ、察した。「見逃されない。狙ってきている」。

 3回までに18球を投じた得意球を封印し、4回からは10球に減らしてフォークを増やした。だが、勝負どころでは再び自信のある「高木ボール」を使った。7回、1点を奪われ、なお1死一、二塁のピンチ。9番杉浦に5球中4球を投じ、犠打を失敗させた。続く川端にもこの球から入り、目先を変えた。

 危険を察知する能力は、社会人時代に身につけた。三菱重工名古屋に入社後、140キロ台の速球で押したが結果を出せなかった。そこで技巧派投手を研究した。自分より球が遅くても、なぜ抑えられるのか。「打者の雰囲気を見分けて球種を投げていることに気付いたんです」。狙いを感じ取る習慣をつけていたからこそ、「組み立てをちょっと変えた」という阿部の臨機応変な配球変更にも、あうんの呼吸で、うまく応えられた。

 チーム勝ち頭の3勝目を挙げ、今後は他球団のマークは厳しさを増す。それでも「自分はベストを尽くすだけ」と浮かれずに締めた。【浜本卓也】

 ▼高木勇が早くも3勝目。巨人の新人でプロ初登板から3戦3勝は57年藤田、60年青木(4戦4勝)00年高橋尚に次いで4人目。藤田の3勝はすべてリリーフ、青木はリリーフの2勝が含まれており、オール先発の3戦3勝は高橋尚に次いで2人目だ。この日の巨人は15試合目。開幕からチーム15試合以下で3勝した新人はリリーフの98年小林幹(広島)以来だが、先発で3勝は87年阿波野(近鉄)以来、28年ぶり。2リーグ制後の巨人ルーキーでは57年藤田、60年青木と堀本に次いで4人目になる。