大台に乗った。ロッテ清田育宏外野手(29)が月間40本目となる安打を放った。6回1死一塁、追い込まれながらもファウルで粘り、9球目をしっかり中前へはじき返した。「1本打てて良かったです」。球団では堀幸一らに並ぶ5人目の月間40安打。チームの勝率を5割に戻して5月を終える立役者となった。

 10センチほどの距離が、清田の打撃開眼につながった。昨年までよりも、打席の中で本塁から少しだけ離れて立つ。「インコースが見やすくなりました」。打席からの景色がほんのわずか変わったことで、もともとあった能力が開花。安打が量産できるようになった。

 打ちまくったこの1カ月。「頭が疲れました」と清田は言う。同じ失敗をしないように、打席の中で考えながらやった成果。この日の試合後も、30分ほど室内練習場で打ち込んだ。「試合で少し差し込まれ気味だったので修正して来ました」。反省点をすぐに解消して次への準備とした。

 5月30日の夜、自宅で家族と食事をしていると、小笠原沖を震源にしたマグニチュード8・5の地震が起こった。ギョーザを食べる手をわずかに止めたが「揺れてるね」と言ったくらいであまり動じなかった。トップに名前が載る新聞の打撃成績も気にしない。エネルギーはなるべく、打つことに費やす。「とにかくチームのために頑張れれば。来月、また新たな気持ちで頑張りたい」。ロッテのけん引役は、まだまだ止まらない。【竹内智信】