<楽天1-2阪神>◇29日◇Kスタ宮城
雨中の粘りが報われた。虎の右腕エース久保康友投手(30)が、8回1失点の快投で星野楽天に競り勝った。4月29日以来、4試合ぶりの今季3勝目。自身の交流戦17勝目は、チームにとって9試合ぶりの先発白星だった。貧打のあおりを受けて力尽きる負の連鎖もストップ。悪い流れを仙台の雨に流して、さあ逆襲や。
交流戦男が復活した。雨が降り続く仙台で、久保が笑顔を取り戻した。
「チームが勝てなかったので、何とか勝ちにつながる投球ができてよかった。がんばって粘っていれば、点を取ってくれると思っていた」。
援護を待ち続けた。金本の逆転2ランに救われた。今季初めてのヒーローインタビューで、打のヒーローと共演。「ありがとうございます!」と感謝の思いを声にした。交流戦通算17勝目。今季の成績も3勝3敗と五分に戻した。
投げる哲学者が求める、理想の投球は「120キロのド真ん中だけで抑えきる」ことだという。思考は常に、打者のタイミングをずらせるかを考えている。
「ボールを遠くに飛ばしたりするのもいいけど、自分の中で野球の醍醐味(だいごみ)はこの駆け引きにあると思っている」。
社会人入社直後は、スピードを求めウエートトレに励んだこともある。それでも、体の動きが悪くなったと感じるときっぱりやめた。チームで唯一、懸垂が1度もできないという男が導き出した野球観だ。
だが、この日の久保は違っていた。初回は腕を振り、制球ではなく球質で勝負をしかけた。5月以降は、白星どころか3連敗を喫していた。くわえて、チームは借金8と危機的状況。冷静な右腕にも、力が入った。
1回2死一、二塁から中村に外角124キロスライダーを左中間へ運ばれ、1点を献上。5戦連続で先制点を許した。「初回はどうなるかと思った。(制球が)アバウトでしたけど、中盤からは修正できた」。冷静さを取り戻すと、早打ちの楽天打線を術中にはめた。2回以降は2安打投球。三塁も踏ませなかった。
「今日の試合を境に、次の試合からどんどん勝っていければいいです」。
9試合ぶりに先発投手が、白星を手にした。きっかけとなる1勝。久保の勝利で、チームもどん底からはい上がる。【鎌田真一郎】



