阪神投手陣に元気が戻った。藤川球児投手(30)が全体練習で気を吐いた。「おいっ!」「行けるやろっ!」。室内練習場にひときわ大きな甲高い声が響いた。

 瞬発力を強化するアメリカンノック方式のゴロ捕球。打球到達点まで20メートルの距離をダッシュ。走るスピードは、誰よりも藤川が速かった。投手陣のリーダーが率先して、チームを鼓舞しているようだった。

 「ないよ。ないよ。楽しくやろうと思っているだけ」。

 本人は否定したが、失っていた明るさを取り戻したことは確かだ。藤川につられるように、最年長の福原も場を盛り上げ、次第に笑顔が広がった。

 29日は5日ぶりの登板で9セーブ目を挙げた。通算セーブ数が164となり歴代7位タイ。そんな個人成績はもとより、チームの連敗ストップに大きく貢献。仕切り直しを図る中で、リーダーの言動がチームに与える影響は大きい。山口投手コーチも「どうせ走るなら楽しくやろうかということやろ」と見守った。チーム防御率3・02はリーグ3位。歯車さえかみあえば、浮上のきっかけをつかめるはずだ。