<ソフトバンク0-4ロッテ>◇8日◇福岡ヤフードーム

 ロッテ成瀬善久投手(25)がソフトバンク打線から毎回の11三振を奪い、今季3度目の完封勝利を飾った。強気の直球勝負で4番小久保、5番カブレラから5奪三振。強力打線を力でねじ伏せ、昨季はレギュラーシーズンで1度も勝てなかったソフトバンクから、今季初対戦で白星を挙げた。復活したエースに導かれ、ロッテの逆襲が始まる。

 27個目のアウトも、空振り三振で決めた。9回2死。成瀬が腕を振って投げ込んだ139キロ、内角高めの直球に、カブレラのバットが空を切った。「ストライクゾーンで勝負できたし、ボールゾーンでも勝負できた。無駄な球がなかった」。自画自賛の今季3度目の完封勝利は、09年9月25日のオリックス戦以来、自身2度目となる毎回奪三振のおまけもついた。

 小久保、カブレラの長距離砲に、直球で真っ向勝負を挑んだ。2人から奪った5三振は、すべて高めのつり球で空振りに仕留めた。「直球が良かったから、直球で勝負できた」。下位打線にはスライダーやカーブも決め球に使ったが、主軸には力勝負。ここ一番は勢いのある直球だった。

 ここまで5勝6敗。6月15日の巨人戦(東京ドーム)を最後に勝ち星のないエースは、ジレンマを抱えていた。「制球が良すぎて逆に狙われてしまうのかも?

 逆球とかの方がいいかもしれない…。へこんだ部分もあった」。制球にこだわり、逆に配球を読まれて、コースや球種を絞られる。勝てない原因を自分なりに分析し「最初はど真ん中で打たれてもいい。追い込んでから厳しいコースを突けばいい」と開き直った。

 昨季はレギュラーシーズンで0勝4敗のソフトバンクに、今季は初対戦で完封勝ち。「いいイメージはないが、首位をたたかないと、僕らは上がっていけない。120球弱で完封できたのは大きい」と笑った。次回登板は場所を替えて再戦する15日(QVC)が有力。復活したエースは早くも次を見据えた。【鈴木良一】