不振に悩む広島ブラッド・エルドレッド内野手(34)が11日、復活を目指し、野村謙二郎監督(47)のマンツーマン指導を受けた。投手だけの練習予定だったマツダスタジアムに姿を見せ、野村監督と約1時間半、コミュニケーションを取りながら不調の打撃を見直した。

 ボスと助っ人。大リーグコーチ修業で鍛えた英語とカタコトの日本語。曇り空の下、野村監督とエルドレッドは明るい表情で、復活への道を探った。

 午前11時前から、まず外野グラウンドを、ぐるぐると約30分間にわたり周回しながら通訳を交えて、じっくり話しあった。それが終わると今度はティー打撃をしながら、また会話。さらには約7メートルの距離から指揮官がトスを出し、これを打ったり、見逃したりする練習を続けた。その間、約1時間半。2人とも汗びっしょりになりながら、復活への気配を探った。

 33本塁打、90打点はともにキング街道を突っ走っているエルドレッドだが、8月に入ってからは33打数でわずか2安打、三振は実に19。現在、25試合連続三振で球団記録も更新中だ。開幕からAクラスを走るチームを支えてきた主砲だけに復活は最大の課題だ。

 「本来は休みだったけど、いいタイミングだと思ったので練習に参加させてもらった。ポイントというのは特にないけれど、いいフィーリングでスイングできるように努めるよ。監督の英語はとてもうまいよ。ポイントをよく理解させてくれる。まあボクも日本語がうまいんだけどね」

 大きな「K」マークがついている背番号13のキラのTシャツを着たエルドレッドはジョークを交えて明るい表情。技術的なことはもちろん、監督との時間を過ごし、いい気分転換になった様子だ。

 「きょうは練習したって書いとけばいいだろ。試合で使わない選手には練習させないからね」

 2軍降格の可能性もあったが、それを否定した上で野村監督もきっぱり話した。きょう12日からはマツダスタジアムで打撃好調のヤクルト、さらに首位巨人との大事な地元6連戦。ここでエルドレッドが復活すれば再び上昇気流に乗れるはずだ。【編集委員・高原寿夫】