<中日3-1ヤクルト>◇12日◇ナゴヤドーム

 竜の「モリヤマ」が勝利をもたらせた。森野将彦内野手、山井大介投手の36歳コンビがお立ち台で今季3度目のツーショットだ。ヤクルト相手に、4番に座った森野は11号ソロを含む3安打3打点とチームの全打点を挙げ、7回1失点の好投山井の今季11勝目をアシスト。森野は今季、山井の登板試合で打率3割5分7厘、2本塁打、25打点と相性抜群のコンビだ。

 ベンチ前でキャッチボールをしていた山井が思わず吹き出した。1点を返され2-1で迎えた6回裏の攻撃。1死から4番森野がヤクルト七條の高め変化球をつかまえた。打球は右翼席にズドン。「久しぶりにナゴヤドームでいい形のホームランが打てた」。今季11号ソロは、先発山井を助ける大きな大きなバックアップ弾だった。

 7月30日広島戦以来、38試合ぶりの4番起用に燃えた。9連戦とシーズン終盤のハード日程のなか、ルナ、荒木がベンチスタート。今季初めての「国産打線」の中心に座ると、1回に先制の中前適時打で流れを作った。3回にも2死二塁から中越え適時打。そして6回のソロアーチ。三塁打が出ればサイクル安打達成の8回は三ゴロに倒れたが、中日の得点はすべて森野のバットから生まれた。

 山井が投げれば、森野が打つ。数字が証明している。今季、山井が先発した試合で森野は打率3割5分7厘、2本塁打、25打点と驚きの数字を記録している。谷繁兼任監督もこれには「波長が合うのか、ホントに打つね」と首をかしげるほど。森野も「何なんでしょうね。不思議な縁ですね。今日なんか試合前に目薬差して『大丈夫かな、今日』って感じだったのに…」。山井の熱投を見れば、疲れも吹き飛ぶということか。

 盟友山井はハーラーダービートップ久保(DeNA)に1勝差となる自身最多の11勝目。6回に1死一、二塁から雄平に中前打を浴びて1点を失ったが、続く畠山を外角球で併殺に仕留めて傷口を最小限に止めた。「自滅だけはしないようにと思っていた」。丁寧な投球でツバメ打線の反撃を抑え、防御率も2・96(リーグ3位)さらに勝率7割3分3厘もリーグトップを維持する。

 試合後の森野の願いは切実だった?

 山井は今季8月に国内FA権を取得。もし他球団に移籍してしまえばどうなるの…?

 「打てる日がなくなっちゃうよ。でも違うチームになっても、山井が投げた日には打つかも(笑い)」。2人の因果関係は科学的に証明されていない。だが、相性がいいということは間違いない。【桝井聡】