<日本プロ野球80周年記念試合:阪神・巨人連合7-8MLB>◇11日◇甲子園

 メジャーに見せたで、虎の底力!

 8年ぶりに開催される「2014

 SUZUKI

 日米野球」(12日開幕)に出場するMLBオールスターチームが甲子園で阪神・巨人連合と記念試合を行った。今季の1、2番コンビ、阪神上本博紀内野手(28)と大和外野手(27)がメジャー相手に大暴れ。大和が3安打でかき乱せば上本が適時打2本の2打点。1点差大接戦を演出した。

 体格差が余計に痛快だ。ベースボールプレーヤーがパワーを見せつけるなら、野球人は技だ。スピードに乗り、縦横無尽にダイヤモンドを走り回る。虎の小兵コンビが強打者軍団を相手に巧打を連発。肌寒い夜空の下、季節外れの燃える甲子園を作り出した。

 2番上本が阪神・巨人連合の初得点をたたき出した。6回2死一塁。メジャー有数の変則中継ぎ左腕、チョートの高め直球に詰まりながらもライナーで左翼線に運んだ。一塁走者大和は二塁打の間に楽々ホームイン。「大和がよく走ってくれました」。1歳下の後輩をねぎらった。

 9番大和も負けていない。3回2死から中前にチーム初安打を放つと7回、9回にもセンターへはじき返す。3打数3安打2得点の暴れっぷりだ。「結果が出て良かった。いい感じで打席に立てている」とニッコリ。今季1、2番コンビとして嫌らしい攻撃を仕掛け続けた2人。メジャー相手でも輝きを失わなかった。

 大和は7日からの秋季練習でフォーム改良の真っ最中だ。頭が突っ込み上体だけでスイングしてしまう悪い癖を修正している。後ろからゴムで頭を引っ張られながら、ティー打撃を行うことも。左足を高く上げ、テークバックを大きく取って下半身の力もバットに込める。まだ発展途上の段階だが「練習していることが打席でも出来てきている」と充実感を漂わせた。

 8回表からは11年シーズン以来、3年ぶりとなる遊撃守備にも就いた。「めちゃくちゃ違和感はあった。近く感じた。でも打球どうこうより守れたことが良かった」と照れ笑いだ。首脳陣は選手層を厚くし、チームの底力をアップさせるため、もともとチーム屈指だった大和の内野守備力を生かそうという考えも持つ。攻守に技を磨く覚悟だ。

 公称173センチ、63キロの上本は7回にも体勢を崩されながら中前に適時打。相手チームには現役メジャー最小の公称168センチながら今季ア・リーグ首位打者に輝いたアストロズ・アルテューベがいた。ポジションも同じ二塁手。上本が「虎のアルテューベ」に成長すれば、虎の未来は明るい。

 「本当にいい経験になりました」。試合後、上本は冷静に振り返った。屈強な男たちとの戦いは、2人の生き残る道をはっきり示していた。【佐井陽介】