オリックスから国内フリーエージェント(FA)宣言した金子千尋投手(31)は29日、右肘手術が終了した。神戸市内の病院で、内視鏡による右肘骨棘(こっきょく)除去手術を受けたことを球団が発表。金子はFA宣言後、25日の精密検査で手術が最善と診断されたことを公表していた。当初の見立て通りの手術内容で、実戦復帰まで約3カ月の予定。回復が順調なら来年3月のオープン戦、同27日のシーズン開幕に間に合う見込みだ。

 エースの残留を熱望するオリックス瀬戸山球団本部長は、今後の交渉再開について「こちらから声をかけた方がいいのか、どうするべきか、いろいろ考えています」とタイミングを見計らっていることを明かした。金子が手術を受けることが明らかになった直後は、手術費用の全額をオリックスが負担することを決めた上で、当面は交渉を凍結するつもりでいた。まずは手術とその後の回復に専念させたい意向からだった。手術が無事に終わったことから、慎重に残留交渉の再開時期を見極める。

 金子は12月3日にゴールデングラブ賞の表彰式を控える。術後の経過次第になるが、初受賞の感謝を伝えるためにも表彰式には出席したい意向を持っている。FA交渉に関しては代理人に任せる方向を打ち出してはいるが、本人が公の場に元気な姿を見せた直後から、オリックスや金子獲得に名乗りを上げる他球団の争奪戦が本格化する。【堀まどか】

 ◆金子と開幕

 4年目の08年に初めて開幕1軍。ローテ投手の岸田らが相次いで故障したため、3月20日西武戦で開幕投手に。7回1失点で勝利投手となった。09年は小松に開幕投手を譲ったものの、10年に奪還。3月20日楽天戦での開幕1-0完封勝利はリーグ8度目の快挙だった。13年にはキャンプ中に右前腕部円回内筋の炎症で離脱。紅白戦、オープン戦と実戦登板がないまま3月29日ロッテ戦で開幕投手を務め、8回1失点(勝敗なし)。14年にはキャンプ中にインフルエンザに感染も、3月28日の日本ハム戦で4度目の大役を務め6回2/3を3失点だった(勝敗なし)。