重い30グラムだ。巨人村田修一内野手(33)が3日、東京・大手町の球団事務所で契約更改交渉を行い、現状維持の推定3億円でサインした。打撃3部門で昨季を下回った教訓から、950グラムのバットを置くと宣言。「学生以来」となる920グラムの相棒で巻き返す。更改の後は都内ホテルに移動し「第43回三井ゴールデン・グラブ賞」表彰式に出席。ここでも「バットマンとしても貢献を」と誓った。

 たかが30グラムでも、村田にとってはされどの30グラムだった。複数年契約の1年目、選手会長1年目を終え、現状維持の3億円で更改。球団からは「納会、楽しかった。浴衣姿、似合ってたよ」とねぎらわれた。「ケガなくやれたのは良かったが」としつつ、打率2割5分6厘、21本塁打、68打点の成績に納得いくはずもなかった。「バットを軽くする。ピッチャーに刺される(差し込まれる)ケースが目立った」と明かした。

 スラッガーの象徴である950~970グラムの重量バットを置き、標準レベルの920グラムに変更する。「タイミングの取り方とか、染み付いたものがあるし、そうは変わらない」。ならば…と「学生時代」以来の決断をした。「相手も対策を練ってくる。もう1歩先、を目標に。(軽量化)で操作性は間違いなく上がる」と、潔くこだわりを捨てた。アオダモの木が枯渇し、同型のバットが入手困難な事情も後押しした。5日にはミズノ社のスタッフ会議がある。「はじきのいいメープル、バーチ(カバの木)など、しっくりくるバットを」と、新たな相棒を見つけるつもりだ。

 使いこなしてみせる。ルーキー岡本の存在は「高卒1年目にレギュラーを取られたら『今まで、何だったんだ』ってなる」と一蹴。「開幕4番を目標に、調子を崩さず、全試合出場する。日本一もそうだけど、まずは4連覇。なかなか難しいこと。達成しないことには日本一もない」と、選手会長らしく高い目標を掲げた。チームでは原監督以来となる、三塁手部門で2年連続となるゴールデングラブ賞を受賞した。「プレッシャーがある。毎日努力する」と言った。打線のど真ん中で920グラムを振り回して、ホットコーナーを守って。「巨人の顔」は渡さない。【宮下敬至】