【ホノルル(米ハワイ州)10日(日本時間11日)=宮下敬至】巨人坂本勇人内野手(25)が、チーム第19代の主将に就任した。ハワイ優勝旅行2日目の夜に行われたレセプションパーティーの冒頭で、原辰徳監督(56)から指名を受け、そのまま壇上であいさつした。07年から8年もの間キャプテンを務めた阿部の後を継ぎ、常勝軍団の先頭に立つ。

 甲高い「アロ~ハ」の第一声で、総勢220人の優勝記念パーティーが始まった。原監督は「家族、スタッフの方々が“ファミリー”として懸命にサポートしてくれた。御礼申し上げます。来季、4連覇。日本一を奪回して。またこうやって来られたら」と頭を下げた直後だった。「こういう席ではあるが」と、和やかムードをがらりと変えた。「慎之助、ちょっと上がってくれる?」と、阿部を壇上に招き入れた。

 静まった。「長きにわたり、いろんなものを託してきた。主将を卒業して、来季は少し身軽な形になる。皆さん、拍手してください」とねぎらい、マイクを譲った。役者の阿部は「アロ~ハ」と受け継ぎ、「野球人、人間としても成長させてもらった」と感謝した。原監督は返す刀で「そして、来季。勇人、おいで」と坂本に水を向けた。「来年は坂本をキャプテンにする。異議ない方は、拍手して下さい」と求めた。全員のかしわ手に押し出され、坂本は少しうつむいて登壇した。

 坂本

 アロ~ハ。えー、突然でビックリしています。まだまだ未熟者で、皆さんのお力を多く借りることもあると思いますが、精いっぱい頑張ります。よろしくお願いいたします。

 飾らない所信表明が響いた。巨人の先頭に立つ人間は、野球に向かう姿勢はもちろん、どんな時でも朗らかさを忘れてはいけない。原監督は、阿部、内海らに相談し、25歳の坂本にその資質があると判断。第19代主将の重い看板を任せた。

 今のジャイアンツらしい、一体感ある禅譲式になった。アンカーは選手会長だった。「修ちゃん、ひと言」と原監督。村田は両手のポーズ込みで「アロ~ハ」と笑わせた。「これだけの方に来ていただいて、うれしく思います」と、まとめ役らしく決めた。頼もしい仲間が控えている。坂本らしく主将を務めるだけだ。