ヤクルトが、巨人にFA移籍した相川亮二捕手(38)の人的補償として、2年目の奥村展征内野手(19)を獲得する方針を固めたことが8日、分かった。真中監督、小川シニアディレクターら球団幹部が同日に会議を開き、結論を出した。近日中に発表される。

 将来性豊かな奥村に着目した。1年目の昨季は1軍出場こそないが、ファーム戦のレギュラーとして86試合に出場。打率2割1分2厘、2本塁打、20打点の成績を残した。当初から守備の基礎レベルが高く、スムーズにプロのレベルに順応していった。ミート力が高く、広角に打ち分ける打撃も見どころがあり、パワーを蓄えながら着実に水準を上げていった。体も頑健で、大きな故障もなくルーキーイヤーを終えた。

 野球に取り組む姿勢は一貫して評価が高かった。昨春のキャンプから休日も1人でマシン打撃に没頭。素振りを含めたスイングの量は、チームでも屈指。オフにはベテラン井端に自主トレ参加を志願、気概を買われて快諾された。現在は熊本県内で無休のトレーニングを行っている。

 昨年末に巨人から人的補償のリストを受け取ったヤクルトは、慎重に検討を重ねてきた。補強ポイントとしては投手、外野手の優先順位が高いとみられていたが、日大山形を甲子園ベスト4に導いた奥村の伸びしろに白羽の矢を立てた格好だ。真中新体制のもと巻き返しを期すチームに、フレッシュな戦力が加わる。

 ◆奥村展征(おくむら・のぶゆき)1995年(平7)5月26日、滋賀県甲西町(現湖南市)生まれ。小学1年から三雲東スポーツ少年団で野球を始める。中学時代は草津リトルシニアパンサーズに所属。日大山形では1年春からレギュラー。主将として出場した13年夏の甲子園では県勢初の4強入り。2回戦の日大三戦で1発を放ち、86年夏の父伸一さん(当時甲西3年)とともに珍しい「甲子園父子本塁打」を記録した。13年ドラフト4位で巨人入団。1年目の昨季はイースタン・リーグで86試合、打率2割1分2厘、2本塁打、20打点。178センチ、72キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸540万円。

 ◆人的補償の年数

 FAの人的補償は95年に河野博文投手(日本ハム→巨人)の補償となった川辺忠義投手が第1号。過去20人いるが、入団2年目を迎える選手は例がない。過去に最も入団年数が少なかったのは13年オフ、大竹寛投手(広島→巨人)の補償となった一岡竜司投手の3年目。