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紙面企画

Ola! WorldCup

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毎週水曜日の紙面ブラジルW杯ワイド特集「Ola! World Cup」に掲載された特集記事を余すとこなくお届けします。

やっちまったなイレブン


 大会は終盤を迎え、すでに出場32カ国のうち24カ国がブラジルを去った。期待通りに活躍する選手、期待を裏切った選手、連日の激闘で明と暗はくっきり。イタリア代表のFWマリオ・バロテリ(23)は3試合で1ゴールに終わり、敗退の責任を負わされている。力を出し切れなかった選手、闘志が空回りして「やってしまった」選手。日刊スポーツでは、期待外れに終わった「究極のイレブン」を選定した。

<ウルグアイFW:スアレス(27=リバプール)>

 2戦目のイングランド戦での2得点で母国を救ったと思いきや、3戦目でイタリアDFキエリーニによもやのかみつき。代表戦9試合の出場停止でW杯から実質の追放を受けた。PSVとリバプールで過去2度やらかしており、今回の9試合を含めた合計の出場停止数は35試合となった。

 そもそも初戦はひざの手術の影響が残りベンチだった。2戦目の活躍ぶりがあまりに素晴らしかったため、3戦目の愚行が目を引いてしまった。スアレスが不在だった決勝トーナメント1回戦のコロンビア戦で、ウルグアイは敗退。エースが不在で攻撃は単調なまま。チャンスらしいチャンスもないまま、まったく別のチームになってしまっていた。

ロナルド

<ポルトガルFW:ロナルド(29=Rマドリード)>

 「バロンドールの呪い」にかかったままだった。欧州最優秀選手はW杯で優勝できないジンクスを破れず、12年ぶりの1次リーグ敗退。主役候補「BIG3」のブラジル・ネイマールとアルゼンチン・メッシがともに4得点と結果を残す中、1点止まり。欧州CLで大会記録の17得点をマークし、Rマドリードを史上最多10度目の優勝に導いた男の面影はなかった。

 初戦はドイツに0-4で惨敗。左の太もも裏と膝を痛めていたとはいえ、決定機を逃し続けた。3試合で計23本ものシュートを放ちながら空砲の嵐。初得点が最終ガーナ戦の後半35分では、あまりに遅すぎた。「これがサッカー」と気丈でも、プライドは傷ついた。

バロテリ

<イタリアFW:バロテリ(23=ACミラン)>

 天国から地獄へ-。FWバロテリは、失意のうちにW杯を去った。イングランド戦、同点で迎えた後半5分、W杯初得点となる決勝点を決めた。ガゼッタ・デロ・スポルト紙には、試合会場がアマゾンだったため「バロテリはジャングルの王」と報じられた。本人も「今大会はイタリアのW杯だ。得点王やリーグ優勝に興味はない」と宣言。ピッチ内外での奇行や過激発言で「悪童」と呼ばれてきたが、今大会はひと味違う。そんな好印象を抱かせた。

 しかしすぐに批判の的になった。コスタリカに0ー1で敗戦すると、シュート3本ながら決定力を欠き、一気に“戦犯”に。マルキジオには「バロテリが1点入れていれば、試合は別のものになっていただろう」と批判された。

 ウルグアイ戦は、前半だけで交代。ここで“本性”が出た。擁護し続けてくれていたプランデリ監督と、激しい口論。試合後もチーム全員でロッカールームを出て行くはずが、集団行動ができず1人で先にバスへ。仲間に嫌われ、さらに1次リーグ敗退でイタリアサポーターからも「敗退の責任者」として批判された。

 ここで終わらないのが、悪童。インスタグラムで「オレは国のために全力を尽くした。オレたち黒人は兄弟のことをこんな風に切り捨てることはしない」と反論した。さらにモヒカンを金髪に染め、チームメートをあきれさせた。

 帰国する際も、飛行機の最後列に婚約者と2人でしっぽり。空港ではチームと離れて歩くなど、完全に孤立。今後、バロテリはどうなるのだろうか。

ムンタリ

<ガーナMF:ムンタリ(29=ACミラン)>

 決勝トーナメント進出の可能性が残されていたチームに水を差し、3度目の出場で初めて1次リーグ敗退となった。累積警告で出場停止になったポルトガルとの3戦目の前日、代表スタッフに暴力を振るったとして、アッピア監督に暴言を吐いたMFボアテングとともにチームを離脱。ガーナ協会から、無期限の出場停止処分を受けた。主力を2人も失ったチームは、ポルトガルに敗れた。

 ACミランでは本田の同僚で、米国戦、ドイツ戦にいずれもフル出場。5本のシュートを放つも枠内は1本のみで、ドイツ戦では乱入した観客と肩を組み退場を促した。拠点のマセイオ貧困地区では住民に100レアル札を配るなど、プレー以外で目立つ部分が多かった。

シャビ

<スペインMF:シャビ(34=バルセロナ)>

 バルセロナ、スペイン代表で一時代を築いた34歳の天才司令塔は、今大会で過去の人となってしまった。初戦のオランダ戦にフル出場したものの、相手が細かいパスをつなぐスペイン流「ティキ・タカ」を研究していたこともあり、決定的な仕事ができず。得点につながるような危険なラストパスを出すことができなかった。チームは1-5と大敗。デルボスケ監督は2戦目以降、シャビを起用しなかった。16年欧州選手権では、シャビが後継者に指名したMFコケに定位置を譲る可能性が高まった。スペインメディアには今夏、カタールのクラブへ移籍すると報じられており、実現すれば金満クラブで“余生”を過ごすことになる。

ソング

<カメルーンMF:ソング(26=バルセロナ)>

 怒りの鉄ついの代償は、あまりにも大きかった。クロアチアとの2戦目、0-1の前半40分。相手FWマンジュキッチが走りだす際に肩が当たるとプッツン。追走して背中に肘打ちをかまして一発退場となり、3試合の出場停止処分を受けた。確執がうわさされていたエースFWエトーが負傷欠場し、自身もピッチを去ると、立て続けに失点し0-4の大敗。終了間際にはDFアスエコットがFWムカンジョに頭突きするなど、チームは完全に崩壊し、早々に2大会連続の1次リーグ敗退が決まった。あまりの醜態に、フィンケ監督は「こんな風に崩れるとは…。謝罪したい」。チームの歯車を狂わせた張本人こそ、陳謝すべきだ。

ジェラード

<イングランドMF:ジェラード(34=リバプール)>

 精神的支柱が不安定では、58年大会以来56年ぶりの1次リーグ敗退も必然だった。極めつきは第2戦のウルグアイ戦。相手GKのキックを不用意に頭でクリアにいき、後ろにそらしてしまう。これがFWスアレスへの絶妙なスルーパスとなり、決勝点をプレゼントする形になった。所属のリバプールでは何度も成功を収めたホットライン。まさか味方と間違えた? そう疑いたくなるプレーで、同国初の2試合終了時点での敗退が決まった。初戦のイタリア戦は後半途中に足がつり、最終コスタリカ戦は先発落ち。3度目のW杯は散々だった。今大会は試合に集中するため家族を呼ばなかったが、この結果では良かったかも!?

ペペ

<ポルトガルDF:ペペ(31=Rマドリード)>

 ポルトガルの1次リーグ敗退は、ペペが退場になった瞬間にほぼ決まっていたのかもしれない。初戦のドイツ戦、0-2とはいえまだ前半37分だった。ドイツFWミュラーが大げさに倒れたことにいらだち、座り込む相手に頭突きをかまし一発退場。直前の前半32分、マークしていたドイツDFフンメルスにCKからたたき込まれた時点で、モチベーションはガタ落ちだった。

 Rマドリードでは過去に09年のリーグ戦で、ボールを奪った相手の背中に蹴りを入れるという蛮行。バルセロナ戦ではメッシの手をわざと踏むなど、悪行の実績はあった。この日は簡単に倒れた相手にいらだったが、わずかに触れたくらいで倒れるのはペペが日常的に行っていること。腹を立てる資格はなかったはずだ。

セルヒオラモス

<スペインDF:セルヒオラモス(28=Rマドリード)>

 初戦のオランダ戦で相手の快足FWロッベンに何度も振り回され、大量5失点の要因となった。第2戦のチリ戦でも点取り屋サンチェスへの寄せが甘く、失点につながる場面をつくってしまった。2連覇を狙うスペインだったが、連敗でまさかの1次リーグ敗退となった。所属のRマドリードでは、5月に行われたAマドリードとの欧州チャンピオンズリーグ決勝で獅子奮迅の活躍。1点を追う後半ロスタイムに同点ゴールを決めて、史上初となる通算10度目の優勝に貢献した。激闘の疲れが取れなかったのか、モチベーションの低下なのか、W杯では終始動きにキレがなく、相手FWを自由にプレーさせてしまうことが多かった。

キエリーニ

<イタリアDF:キエリーニ(29=ユベントス)>

 “かまれ損”になってしまった。ウルグアイ戦、ゴール前で接触したFWスアレスに左肩をかまれた。ユニホームをめくって、くっきりと残った歯形を主審にアピールするも、スルーされた。怒りがおさまらず冷静さを失ったのか、直後のCKから決勝点を許して、1勝2敗で1次リーグ敗退。試合後には「主審は見ていたのに、退場させなかった」と批判した。しかしスアレスにFIFAから厳罰が下ると、一気にトーンダウン。自身の公式サイトで「処分は過剰だ。自分の中でスアレスに対して喜びも、怒りも感じてはいない。今考えているのは彼と、彼の家族のこと。これからとても難しい時期になる」と心配した。

カシリャス

<スペインGK:カシリャス(33=Rマドリード)>

 初戦のオランダ戦からひどい出来だった。位置取りが悪く、ファンペルシーのループ気味のダイビングヘッドを許した。セットプレーでは競り負け、最後はロッベンにからかわれるように目の前をドリブルでかわされ、シュートを決められた。次期正GK候補の23歳デヘアが故障中のため、2戦目のチリ戦も先発したが2失点。1次リーグ敗退の最大の“戦犯”となった。さすがにデルボスケ監督の我慢も限界で、第3戦のオーストラリア戦は31歳の第3GKレイナが先発。3-0で勝利したのは皮肉な結果だった。カシリャスは所属のRマドリードでは12-13年シーズンから出場試合数が激減しており、もはや代表レベルの力はないとみられている。

カペロ監督

<ロシア監督:カペロ(68)>

 年俸11億円、参加監督の中で最も高給取りのロシア代表カペロ監督は、1勝もできずに大会を去った。68歳の誕生日の前日に行われた韓国戦を引き分け、続くベルギー戦は黒星。1次リーグ突破を目指した最終のアルジェリア戦は1度はリードしたものの追いつかれてドロー。「決勝進出が目標」と宣言していたが、決勝どころか決勝トーナメントにすら進めなかった。

 12年にロシアの期待を背負って就任した。18年の地元W杯に向けて若手を多く起用した。ACミランやRマドリードにタイトルをもたらした「規律」を持ち込み、チームを改革した。欧州予選を圧倒的な力で勝ち上がり、本番も期待はされていた。しかし、選手たちは何もできなかった。

 契約は18年まで残っているが、1次リーグ惨敗で解任を求める声がある。「このまま高い給料を捨て続けるのか」。月1億円近い高額年俸だけに、カペロ監督への風当たりも強い。

















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