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評論家

為末大学

為末大学

日刊スポーツ紙面の人気コラム「爲末大学」が登場します。陸上の元五輪選手でマルチな才能を発揮する為末大氏(36)が、大会を社会学的な見地か ら考察。W杯終了まで、日刊スポーツ紙面で毎週水曜日の連載です。

「結局、日本は勝負弱い」は本当か


 本紙の人気コラム「爲末大学」が今日から登場します。陸上の元五輪選手でマルチな才能を発揮する為末大氏(36)が、大会を社会学的な見地から考察します。

 今回のコートジボワール戦、残念ながら日本は敗北してしまった。その翌日、電車に乗っていて隣の青年が話していたことが気になった。「結局、日本は勝負弱いんだよな」。

 FIFAランキングがどの程度正確なのかは分からないが、ランキングのままで考えると日本は1次リーグで最も低く、予選で1勝もできないことになる。

 日本だけの特徴なのか分からないけれど、スポーツ、特にサッカーでは「日本代表」が関わるものがとても盛り上がる。しかも、その国が活躍できそうだとなると、さらにそれが加速する。「どうも今回は厳しいらしい」というよりも「今回はいけそうだ」という方が、試合でも見てみようかという気分になる。

 視聴者が先か、メディアが先か分からないけれど、試合の前には、なるべく「今回の日本は勝てそうだ」という期待感をあおっていく風潮があるように思う。「順当にいけば予選敗退」では興味を持ってくれる人が少ないからだろう。

 W杯も五輪もこれだけ盛り上がるのは、メディアを通じて多くの人が瞬間を共有できるからで、それだけの舞台装置だから。当然、周辺では巨額のお金が動いている。今回の放送権料は400億円とも言われ、毎回最高額を更新している。放送権は先に買って、それを後でスポンサーや広告などで回収するモデルになっている。買った側からすると、先に投資しているわけだから盛り上がってもらわないと困る。電車の青年の発言を正確に直すと、こうなるだろう。

 「日本は勝てると誰かが言っていたのに、勝てないなんて、日本は勝負弱いに違いない」

 本当の日本の実力が、世界でどの辺りかというのを知っている人は、どのくらいいるのだろうか。今の日本は、実力通りなのだろうか、それとも期待はずれなのだろうか、それとも実力以上の結果を出しているのだろうか。

 夢や願望を語れば、それが現実化するという意味では、口に出すことはとても大事だと思う。でも一方で、現実を見極める冷静な視点も必要なように感じる。何が願望で、何が現実を見据えた上の分析なのか。冷静な視点の上にある夢の方が、私は役に立つと考えている。(為末大 @daijapan

















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