日本映画製作者協会が、最も優れた新人監督、優秀なプロデューサーに授与する新藤兼人賞の、2016年度受賞者が14日、発表された。

 金賞は、宮沢りえが主演した「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督(43)、銀賞は今年の東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門で作品賞を受賞した「ケンとカズ」の小路紘史監督(30)が受賞した。両監督にはトロフィーと、副賞として金賞には50万円、銀賞には25万円の賞金が贈られる。

 またプロデューサー賞は、興行収入179億円を突破したアニメ映画「君の名は。」をプロデュースした、コミックス・ウェーブ・フィルム代表の川口典孝氏が受賞した。正賞のクリスタルトロフィーと副賞の賞金50万円が贈られる。

 新藤兼人賞は、今後の日本映画界を背負う人材を育てたいという映画製作者たちの思いから、日本のインディペンデント映画の先駆者として知られ、12年5月に100歳で亡くなった、新藤兼人監督の名を冠した映画賞。1966年に創設され、今年で21回目を迎える。金賞、銀賞の受賞者に贈られるトロフィーのデザインは、新藤兼人監督のオリジナルで、主催の日本映画製作者協会の代表理事は、新藤監督の次男の新藤次郎氏が務める。

 「この監督と組んで仕事をしてみたい」「今後この監督に映画を作らせてみたい」というプロデューサーの観点から選考を行う、日本で唯一の個性を持つ新人監督賞として知られる。過去の受賞者には是枝裕和監督、橋口亮輔監督、李相日監督、西川美和監督、佐々部清監督、土井裕泰監督、中村義洋監督、内田けんじ監督、森義隆監督、呉美保監督ら、日本映画界で活躍する監督たちがおり、新人監督の登竜門として高く評価されている。

 2016年度の金賞、銀賞は、2015年12月から2016年11月に劇場公開された新人監督180作品を対象に選考が行われた。新人監督の基準は、長編デビュー作より3作品までとしている。

 プロデューサー賞は、優秀な作品の完成に貢献を果たしたプロデューサーや企画者を評価し、功績をたたえることで映画製作者への刺激を与え、活性化につなげたいという願いを込めて2005年に創設された。12回目となる今回は、2015年12月から2016年11月に劇場公開された作品を対象に選考が行われた。