助演男優賞は妻夫木聡が受賞した。「怒り」(李相日監督)ではエリートで同性愛者という複雑な事情を抱えた男、「ミュージアム」(大友啓史監督)ではカエル男と呼ばれる猟奇殺人鬼など、幅広い役柄を次々と演じた。妻夫木は「人と作品との出会いは本当に大事。僕はすごく運がいい。いろんな人と出会って自分自身を高めてくれる映画界のおかげ」と話した。

 異なる作品が同時進行になることもあった。頭の切り替えについて「どの現場でも、監督が作る空気に入っていくだけなので」と自然体。選考会では「映画界になくなはならない存在」と評価されたが「そうなれているか分かりませんが、これからも映画界に貢献したい」と語った。

 昨年の同賞受賞者で、表彰盾プレゼンターとして登壇した本木雅弘は「挑戦的にいろいろな役を演じ、自由になろうとしているのがうらやましい。無理なく普通をまとえるというのは役者として難しいテーマですが、自然と背負えるのは大きな武器」。また「キュートでかわいい雰囲気だが、酒豪で義理堅く、渡哲也さんみたいな男惚れする信頼感を内に秘めている感じ。現場でご一緒できたら僕も感じてみたい」と話した。

 花束を贈った李相日監督は「彼がカメラの前に立つと、なるほどなという説得力がある。20代から一緒に走ってきて、今回が3本目。今回は背中を見るような感じで、ちょっと先を行かれた危機感を感じる」と話した。